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企業分析

総合商社なら伊藤忠がダントツー五大商社で比較してみたー

投稿日:2017-11-23 更新日:

日本株では高配当株として知られる商社株。その中で投資対象としてはダントツで伊藤忠商事が魅力的です。最高益を更新し続けていて、業界トップの三菱商事の背中を追いかけています。

そんな伊藤忠商事を含めた総合商社について、株価、キャッシュフロー、財務状況から投資対象としての比較をしてみます。伊藤忠ならではの強みを見ていきましょう。

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■総合商社株の4つの魅力

日本株比率を減らしているsnowゆうぞうですが、商社株は日本株で買い増しを検討しています。2019年5月現在、伊藤忠(8001) を300株、三井物産(8031)を200株ずつ保有しています。

総合商社は事業投資を生業としています。ざっくりとしすぎてイメージできない人も多いのではないでしょうか。

一般的な「総合商社」の魅力は5つあります。

 
①高配当
②従業員が優秀
③ビジネスモデルが秀逸
④割安で放置されがち(高配当の裏返しですが)
(番外)高給
 

高い給料は就職しないともらえませんし、そもそも相当優秀でないと選考の土俵にすら上がれません。

僕は従業員としてのメリット教授を諦め、株主としてこうした魅力を享受すべくお試しで買っていました。ポートフォリオに組み込むにあたり、相応の裏付けをしておきたいということで銘柄比較を行いました。

■総合商社は高成長率かつ割安

株高だった2017年11月時点でも、商社株はPER8倍程度と、日経平均の16倍程度と比較してかなり割安な水準になっています。割安な理由としては、コングロマリット業態ゆえの分析の困難さ、大型投資案件が多く減損リスク等が考えられます。足元の株高のなかで、これほど好業績で株価が割安かつ高配当な銘柄は魅力的です。

5大総合商社の中でここ数年急成長を遂げている伊藤忠(8001)に着目しました。僕らアラサー世代の就活時代は、3大財閥商社の住友商事(8053)を抜いて最高益を更新したと世間を賑わせていました。「非財閥の雄」である伊藤忠商事は衰えることなく最高益を更新(3522億円、17年3月期純利益)し続け、三井物産(3061億円、同)を抜き2位に躍り出ています。

『三井物産、純利益で伊藤忠に届かず 17年3月期』
(出典:日経オンライン)

■伊藤忠だけが日経平均をアウトパフォーム~5大商社株価比較~

5大商社(三菱商事、伊藤忠商事、三井物産、住友商事、丸紅)の株価を比べてみます。リーマンショック後の底値である2009年2月を100としたときの指数で表しました。リーマンショック以降は大きな調整局面を迎えていないこともあり、あえて10年以上の期間で変化を確認します。グラフは2005年6月~2019年5月の推移です。

 

 

ベンチマークとして日経225平均も入れてあります。伊藤忠は日経平均を唯一アウトパフォームしています。特に2016年以降のアウトパフォームは顕著です。唯一リーマンショック前の高値を更新し続けてきました。市況によらない収益力を着実に積み重ねてきたことが読み取れます。

本比較では、伊藤忠>日経平均>丸紅>三菱商事>住友商事≒三井物産 の順序になります。

この比較では丸紅がやや好評価に見えてしまいます。リーマンショック底値を基準とした比較のため、財務基盤の軟弱な非財閥商社が過大評価されやすい比較評価方法であることには留意すべきでしょう。業界トップを走る三菱商事はLNGプラントの千代田化工絡みの巨額債務リスクが発覚。2019年5月に株価が急落しています。三井物産は相変わらず資源比率が高く、投資が嵩むことから敬遠されていそうです。

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■伊藤忠の配当とキャッシュフロー

伊藤忠の個別分析を行います。配当性向は少しずつ切りあがっており、配当も着実に伸ばしています。20年3月期も85円/単元株の配当が約束されています。また年間計画でも増益増配を明言していて、事業が軌道に乗り株主還元にも積極的なことがわかります。

キャッシュフローを確認します。2016年は中国CITICへの大型投資の影響でCFは大幅赤字ですが、概ね営業CFは安定してきています。財務CFもマイナスとなっていて、自社株買いや債務返済が進んでいることが読み取れます。懸念点は利益の伸びに対して営業CFの伸びが追いついていないこと。既得権益で美味しい思いを出来ない非財閥ならではの弱点ですが、この点は伊藤忠のリスクと言えるかもしれません。

伊藤忠はこれからもリターンをもたらしてくれそうな有望株でしょう。足元株価水準が切りあがっているため、投資タイミングが難しいのが悩ましいところですが。。。

■ネットDERでみる5大商社の財務指標比較

重要な財務指標の1つ、ネットDER(Debt Equity Ratio)を確認します。「負債資本倍率」とも表されます。財務状況の健全性を見る指標の一つで、負債(Debt、返済義務あり)と株主資本(Equity、返済義務なし)の比率が表現されています。この値が低いほど財務が健全であることを示します。逆に高い場合にはたくさん借金をしてレバレッジの高いチャレンジングな経営をしていると言えます。

リーマンショック以前は各社高い水準で推移し、リーマンショックの2009年度は各社とも大幅に上昇しています。丸紅はリーマンショックでの株価下落幅が大きくなっています。その結果軟弱な財務基盤がさらに毀損(ネットDERの上昇)し、それだけ投資家がリスク回避に動いたということがわかります。

近年は各社とも右肩下がり傾向で、債務返済が進んでいます。住友商事・丸紅は比較的高い水準ですが各社2017年度までに大きく減らしていて、財務健全化が順調に進んでいます。逆にリスクを取ってナボの総合商社としてはチャレンジ精神がちょっと足りないとも言えますね。

■5大商社のキャッシュフロー比較

次に財務キャッシュフロー(財務CF)を確認します。配当や自社株買いなどの株主還元が多かったり債務返済が進んだ場合はマイナスになります。逆に増資や社債発行等の資金調達を行った場合はプラスになります。

たとえばリーマンショック後の2009年度は各社とも軒並みプラス圏を推移しており、苦しい経営をしていることがわかります。逆に2017年度は各社ともマイナスになっていて、潤沢なキャッシュで高配当を出しているようです。ただし三井物産は財務CFがほぼプラスマイナスゼロとなっていて、他の4社と比較して財務健全化が遅れているようです。資源関連の減損処理が効いているのでしょうか。

次に各社のキャッシュフロー(CF)を確認します。営業CFは本業での事業収支差を表し、事業そのものが黒字ならプラス、赤字ならマイナスになります。伊藤忠は営業CFが唯一右肩上がりとなっています。

財務CFは固定資産や株、債券などの売買損益を示します。設備投資や事業投資を行った場合はマイナス、資産売却をした場合はプラスになります。

フリーCFは営業CFと投資CFの合算で、会社の自由に使えるキャッシュです。これが配当や自社株買い、債務返済、内部留保の原資になります。

各社のフリーCFですが、かなり凸凹しています。その中で三菱商事、伊藤忠は大きく投資して投資回収するサイクルがしっかり回っていているように見えます。商社らしく大きく投資しながらもキャッシュを着実に生み出すビジネスモデルが確立されているのでしょう。ただし伊藤忠は中国投資比率が高く、今後の米中貿易摩擦の打撃を受けるリスクがある点には要注意です。

住友商事は足元のフリーCFは大きいですが、投資CFが他社よりも少なく見えます。「石橋をたたいても渡らない」ほど慎重な企業文化の現れですが、将来の成長余地を着実に削っています。伊藤忠に抜かれて万年4位のポジションを確立してしまったと言えますね。

丸紅は業界5位ということもあり、営業CFに対して2014-16年に大胆にしています。また2017年度は投資CFがプラスになっていて、2017-19年は投資CFが急減していることから、過去の過剰投資分を整理して株主還元の原資をひねり出しているようにも映ります。投資対象としては対リターンで考えてもハイリスクと考えられます。

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■5大商社の1株益と1株配当比較

最後に一株益と一株配当です。各社で発行済み株式数が異なるので、配当目的の投資では一株あたりの利益に注目する必要があります。また配当性向は一株利益と一株配当の比率を表す指標で、大きいほど株主還元に積極的であると言えます。

一般に成熟産業の優良企業(株主にとって、です)は配当性向が高くなる、すなわち稼いだキャッシュ(利益)を株主に還元する傾向にあります。日本株が最も苦手な分野です。

総合商社は日本株では高配当ですが、積極投資を行うので配当性向は20~30%とそれほど高くはありません。

三菱商事、三井物産は2016年度に原油関連で、住友商事は2015年度に銅関連で大きく減損を出して赤字転落しています。丸紅も規模が小さいながらも、資源関連での減損による業績への大きな影響がありました

一方伊藤忠は、市況が悪い中でも着実に利益を創出し続けています。配当性向も横ばいのため、無理して配当支払をしていないことがわかります。資源に依存しない経営の強みが数字として表れており、着実なリターンを見込める投資対象として非常に魅力的に映ります。伊藤忠で強いて気になる点を挙げれるとすれば、営業CFの伸びと比較して1株益が急増していることでしょうか。IFRS導入で一過性の株式評価益が載っているのかもしれませんね。

総合商社株の投資対象として伊藤忠は優れていることがわかりました。数少ない日本株のポートフォリオに組み込んでもよさそうな銘柄と言ってよいでしょう。僕は2019年5月末現在で300株保有しています。

総合商社の本業は事業投資なので、ある意味グローバル投資信託を買うような気持ちで投資していくのが良いのではないでしょうか。

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