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企業分析

【7社徹底比較】プラントエンジ準大手ならタクマか富士古河E&C

2021-01-30

【2020年3月期版】プラントエンジニアリング主要10社うち、専業10社を除く7社の15年間推移を徹底比較します。

プラントエンジ業界といえば専業3社。売上規模では到底かないませんが、実はビジネス展開という意味では準大手クラスの企業群の中にも有望な企業は存在します。

株式投資を検討されている方だけでなく、就職や転職を考えている方もどうぞ。

目次

1.プラントエンジニアリング主要10社とは
2.プラントエンジニアリング主要10社を徹底比較
 2-1.比較①:株価推移
 2-2.比較②:自己資本比率の推移
 2-3.比較③:売上高の推移
 2-4.比較④:従業員1人当たりの売上高推移
 2-5.比較⑤:従業員1人当たりの営業利益推移
 2-6.比較⑥:従業員の平均年収推移
3.プラントエンジニアリング主要10社の財務比較
 3-1.栗田工業
 3-2.タクマ
 3-3.レイズネクスト
 3-4.メタウォーター
 3-5.太平電業
 3-6.富士古河E&C
 3-7.田辺工業
4.結論:プラント準大手ならタクマor富士古河E&C
5.結論:プラントエンジ業界は栗田工業が有望

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1. プラントエンジニアリング主要10社とは

プラントエンジニアリングとは、大型設備であるプラントの設計から竣工まで実施する業態のことを指します。石油化学やLNGなどの資源系プラントが最も印象的ですが、鉄鋼・非鉄金属・セメント・セラミックスなどの製造設備、上下水道処理施設やごみ処理焼却場をつくるのもプラントエンジニアリングですね。

建設業界ニュースサイトbuilt.itmediaでたびたび使われている括りですね。プラントエンジニアリングとしては専業大手3社(日揮(東証1963)、千代田化工建設(東証6366)、東洋エンジニアリング(東証6330))が知られています。ここに栗田工業(東証6370)、タクマ(東証6013)、レイズネクスト(東証6379)、メタウォーター(東証9551)、太平電業(東証1968)、富士古河E&C(東証1775)、田辺工業(東証1828)の7社を加えた10社のことを指します。

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2. プラントエンジニアリング主要10社を徹底比較

プラントエンジニアリング主要10社を徹底比較しました。本記事では比較対象として専業大手3社を除き、栗田工業(2019年度売上高2648億円)、タクマ(同1345億円)、レイズネクスト(同1406億円)、メタウォーター(同1287億円)、太平電業(同1195億円)、富士古河E&C(同820億円)、田辺工業(同377億円)の7社を徹底比較しました。専業3社のうち最大手で業績良好な日揮(同4808億円)も比較対象として含めました。

プラントエンジニアリングと言えばEPCが思い浮かびますが、主要10社の中でも専業以外でEPCが強いのは栗田工業、タクマ。規模が小さい企業群は工事がメインである企業が多いです。

なおレイズネクストは2019年に新興プランテック(2017年度売上高890億円)がJXエンジニアリング(約500億円)を吸収合併してできた会社です。2019年以前は新興プランテックと読み替えてください。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35885380Y8A920C1X93000

専業3社(日揮、千代田化工建設、東洋エンジニアリング)に栗田工業を含めた大手4社の比較に関しては、こちらの記事をどうぞ。

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2-1. 比較①:株価推移

リーマンショック後の底値付近である2009年2月を100としたときの指数で表して比較してみます。リーマンショック前後を含めた過去15年間の推移を見てみましょう。なお2014年12月に上場したメタウォーター(東証9551)は適切に評価できないので除きました。

ベンチマークとして日経225平均も入れてあります。浮き沈みが激しすぎるので対数目盛表記とさせていただきました。

専業2社除くプラントエンジニアリング主要10社(日揮、栗田工業、タクマ、レイズネクスト、太平電業、富士古河E&C、田辺工業)および日経平均の2005年から2020年までの長期株価推移の比較を示した図。
各社有価証券報告書からS-ゆうぞう作成

2020年12月現在(グラフ右端)、ダントツTOPはタクマ東証6013)です。リーマンショックの底値と比較すると、株価はなんと18倍。日経平均どころか利回りの大きい米国株も顔負けの成績ですね。2005年から2008年での海外案件2件でのダメージをモロに受けましたが、暗黒期を乗り越えて株価は独走を続けています。

富士古河E&C(東証1775)と田辺工業(東証1828)は日経平均と同程度です。業界最大手の日揮(東証1963)もそうですが、他3社は大幅アンダーパフォーム。ただし栗田工業はビジネスが堅実すぎてリーマンショック時にあまり下がらなかった影響も大きそうです。

業界最大手の日揮を含めて最大手クラスは悲惨な株価推移で、業界全体としてはかなり苦しい展開です。プラントエンジ業界に限らず売上規模と株価に相関はなく、必ずしも規模が大きければ業績良好というわけではありません

2-2. 比較②:自己資本比率の推移

重要な財務指標の1つ、自己資本比率を確認します。財務状況の健全性を見る指標の一つで、全体資産のうち返済不要の自己資本の割合を示したものです。この値が高いほど財務が健全で堅実経営であることを示します。逆に低い場合にはたくさん借金をしてレバレッジの高いチャレンジングな経営をしていると言えます。

専業2社除くプラントエンジニアリング主要10社(日揮、栗田工業、タクマ、レイズネクスト、メタウォーター、太平電業、富士古河E&C、田辺工業)の2005年から2020年までの自己資本比率推移の比較を示した図。
各社有価証券報告書からS-ゆうぞう作成

高位安定だった栗田工業、太平電業は徐々に自己資本比率を下げています。栗田工業は事業成長のための投資にキャッシュを使っているので前向きな自己資本低下です。一方で太平電業は見た目の業績好調にもかかわらず株価に加え自己資本比率も低空飛行していて、事業運営上何らかの問題を抱えている可能性があります。後述のキャッシュフローを確認したいところです。

タクマ、レイズネクスト(の前身である新興プランテック)、は共に暗黒時代を乗り越え、V字回復していますね。新興プランテックはグラフ外の2000年代前半に自己資本利率7%台の時代もありました。また富士古河E&Cは自己資本こそ相対的に低いですが、大きな凹凸なく近年は着実に足場を固めています。

プラント業界は浮き沈みの激しい業界ですが、栗田工業、太平電業以外はリーマンショック後右肩上がりとなっていますね。

プラント業界は建設業であり、製造業とはずいぶん様相が異なります。投資家目線ではハイリスクローリターン、変動は製造業よりもはるかに大きいと言えそうです。

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2-3. 比較③:売上高の推移

2-3-1. 連結売上高の指数化による比較

2005年度の売上高を100としたときの推移を確認します。専業3社と比較すると浮き沈みはやや穏やかです。規模が大きくない故海外のリスク高い案件をそれほど持っていないのでしょうか。

専業2社除くプラントエンジニアリング主要10社(日揮、栗田工業、タクマ、レイズネクスト、メタウォーター、太平電業、富士古河E&C、田辺工業)について、2005年度を100としたときの2005年から2020年までの売上高比率の相対値推移の比較を示した図。
各社有価証券報告書からS-ゆうぞう作成

富士古河E&Cの伸びが凄まじいですね。2009年は富士電機E&C、富士電機総設、古河総合設備の3社経営統合の影響ですが、それから10年以上にわたり継続して売上げ成長を遂げています。親会社案件もあるのでしょうが、これだけ長期継続的な伸びは目を見張るものがあります。

一方で太平電業は直近2年で売上高を1.5倍にしてしまいました2018年度、2019年度と大きく売上を伸ばしています。自己資本比率低下と同じタイミングで売上が急増しているのは気味が悪いですね。発電プラント関連の工事に強みを持っているのはわかりますが、たった2年で売上げ1.5倍はちょっとやり過ぎ感があります。企業成長に一定のリスクは付き物ですが、丁寧にキャッシュフローを追う必要があるでしょう。

2-3-2. 連結総売上高の絶対額比較

連結総売上高の絶対額推移も合わせて載せておきます。随分景色が変わりますね。とくに相対比較ではそれほど優れて見えなかった栗田工業とタクマですが、売上1000億円規模の企業で着実に事業成長させているのは流石です。実際に株価も堅調ですしね。

他業界でも売上高と企業の未来は必ずしも一致しませんが、プラントエンジ業界はその傾向がより顕著化かもしれません。

専業2社除くプラントエンジニアリング主要10社(日揮、栗田工業、タクマ、レイズネクスト、メタウォーター、太平電業、富士古河E&C、田辺工業)について、2005年から2020年までの連結売上高推移の比較を示した図。
各社有価証券報告書からS-ゆうぞう作成

特に日系プラント業界の中でも専業3社を除くとニッチで小ぶりです。小規模でも上手なビジネスをやっている企業はたくさんあるので、売上以外にも様々な指標を確認することをお勧めします。

業界分析は投資を検討されている方以外にも、就職・転職を検討している方にも必須です。ただ本記事は投資家目線がメインなので、転職を検討される場合にはOpenworkなどで待遇や社風も合わせて確認しておきましょう。

ちなみに僕が転職するときには、株価以外の部分は財務体質を含めてしっかりチェックしていました。業界として拡大が続く中で中途採用も増えていますが、新卒応募でもしっかり企業財務の分析をしておきたいところです。

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2-4. 比較④:従業員1人当たり売上高の推移

従業員1人あたりの売上高推移の比較結果を確認します。労働効率、労働環境などは単なる売上高だけでは見えない場合も多いので、丁寧に確認しておきたいところ。ビジネスモデルにも大きく依存する指標なので一概には言えない部分もありますが、一つの指標としてみてみましょう。

専業2社除くプラントエンジニアリング主要10社(日揮、栗田工業、タクマ、レイズネクスト、メタウォーター、太平電業、富士古河E&C、田辺工業)について、2005年から2020年までの連結1人あたり売上高推移の比較を示した図。
各社有価証券報告書からS-ゆうぞう作成

石油化学プラント工事が多いレイズネクストは日揮と並んで1人当たり売上が高くなっています。資材などの原価が高い可能性もありますが、従業員負荷が高いことが予想されます。定修のプレッシャーは大きそうです。

売上を伸ばしていたタクマ、栗田工業、富士古河E&Cですが、1人当たりで見るとそこまで大きく伸びていません。会社の成長に合わせて必要な人員を確保しているという事ですね。これなら投資家目線でも安心です。

一方で太平電業ですが、直近2年で1人当たり売上も大きく伸びました。専業大手の千代田化工や東洋エンジでもありましたが、無理な受注でリスク管理が甘くなってからの想定外費用計上の流れですね。残念ながらだんだん良くないストーリーが見えかくれする展開です。

2-5. 比較⑤:従業員1人当たり営業利益額の推移

従業員1人あたりの営業利益額推移の比較結果を見ると景色が一転します。効率的に利益創出しているかという点を確認するために重要な指標です。一般的にはこの値が高いほど稼ぎ方・リソースの使い方がうまく、逆に低い場合には稼ぎ方が下手である可能性が高いです。

専業2社除くプラントエンジニアリング主要10社(日揮、栗田工業、タクマ、レイズネクスト、メタウォーター、太平電業、富士古河E&C、田辺工業)について、2005年から2020年までの連結従業員1人あたり営業利益額推移の比較を示した図。

ここではタクマと富士古河E&Cの右肩上がりトレンドに着目したいです。1人あたり売上は維持しつつも売上総額を伸ばし、1人当たり利益をしっかり確保する構造が出来上がっていると予想できます。栗田工業を除けば、投資対象としては主要10社の中ではこの2社が狙い目でしょう。

ただタクマ(PER21、時価総額1800億円、2021年1月末現在)は栗田工業(同PER25、時価総額4900億円)と同様、既に相当に買われています。主戦場が国内でかつ海外案件を積極的に拡大しない方針なので、投資対象としての魅力は一段下がるでしょう。とはいえ十分魅力的な水準ですし、従業員として働く上では別です。

今後の市場成長も加味すると、出遅れている富士古河E&C(同PER6、時価総額210億円)に投資妙味がありそうです。時価総額が低いので小型株特有の流動性問題があり、大胆な投資は難しいですけどね。ちなみに僕は本記事執筆用データ収集時の2021年1月中旬に100株だけ買いました。10年後くらいにダブルバガー達成を密かに期待してます。

2-6. 比較⑥:従業員1人当たり平均年収の推移

各社の従業員「平均年収」のデータを比較します。ここが一番気になるという方も多いのではないでしょうか。有価証券報告書をもとに作成しています。

専業2社除くプラントエンジニアリング主要10社(日揮、栗田工業、タクマ、レイズネクスト、メタウォーター、太平電業、富士古河E&C、田辺工業)について、2005年から2020年までの従業員平均年収推移の比較を示した図。

一応データとして載せましたが、あくまで同一会社内での時系列変化のトレンドくらいしかわかりません。製造業と異なり給与体系の異なる「現場」人員は少ないので、本給そのものは製造業よりは実態に近いものが掲載されていると予想できます。

2014年度に上場して資金調達したメタウォーターが伸び悩んでいるのは理解できます。それ以外は日揮を除いてリーマンショック後は各社緩やかに伸びていますね。注目したいのはリーマンショック前後の変動です。従業員へのカネ払いと景気連動の相関は、従業員として働く上では大切でしょう。

タクマはリーマンショック前の業績不振時、リーマンショック後の不透明な状況でも殆ど平均給与が変動していません。その後の景気回復局面ではしっかり支給額を増額しています。働く上では魅力的である可能性が高いと予想できます。

ここでの「平均年収」とは給与・賞与・時間外給与。プラントエンジ業界特有の出張手当等は一切含まれていないと推定できます。実際にはこれらの手当をたくさん貰えるのがプラントエンジ業界の特徴であり、実態はもっと高いと思われます。もっとも現場に張り付く期間も長く、仕事中心の私生活になるようですが。

有価証券報告書には記載されていない総合職のみの年収動向は、就職四季報を参考にしましょう。過去3年分が掲載されています。

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3. プラントエンジニアリング主要10社の財務比較

各社の財務状況と事業内訳を確認してきます。財務状況はキャッシュフロー(営業CF、投資CF)と影響利益率、事業内訳は主要分野での売上高の長期推移と海外比率としました。

3-1.栗田工業

詳細は大手4社の比較記事でもふれましたが、水処理関連のプラント業界では存在感を持っています。投資キャッシュフローはやや変動が大きいですが、営業利益率と合わせるとプラント業界としては投資対象として安心できる銘柄であることがわかります。

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有価証券報告書からの財務データ読み取りは中堅クラス以上の社会人にとっては必須のビジネススキルです。筆者は下記の本で勉強しました。基本的な内容が簡潔に網羅されている良書です。

3-2. タクマ

専業3社を除くと栗田工業に続く売上高を誇るタクマ。2019年度は1344億円で、うち80%以上を国内の環境・エネルギー向けプラントが占めます。特にごみ処理プラント、下水処理プラント、バイオマス発電プラントに強みを持っていることが特徴ですね。

日本で欧州向け都市ごみ焼却プラントを最初に英国で受注したのもタクマです(2005年度タクマ有価証券報告書より)。ただ本件を含む欧州案件で2007年度、2008年度にそれぞれ129億円、22億円の特別損失・営業損失を出してしまってますが。

またタイのバイオマス発電ではテロ関係を含む治安対策や追加工事の影響でダメージを受けています。2005年度、2006年度にはそれぞれ16億円、32億円の営業損失。欲を出して海外案件に手を出した黒歴史はありつつも、リーマンショック以降は国内案件中心の受注へ方針転換したようです。会社存続の海外案件が自分たちの手に負えないと早々に判断したのでしょうか、特にリーマンショック以降は低リスクの手堅いビジネス展開をやっている印象です。

3-3. レイズネクスト

2019年7月に新興プランがJXエンジを吸収合併してできた会社がレイズネクスト。JXエンジ1株に対し新興プラン9.2株を割り当てる株式交換なので、2019年以前はほぼ新興プランですね。

投資キャッシュフローが小さいのも工事会社らしいですね。営業CFの浮き沈みは気になりますが、大口があのENEOS()なので、検収時期でだいぶCFがブれている印象です。

そもそも新興プランテック自体も2000年に新潟工事と三興製作所が合併して発足しました。売上の大半が石油化学プラント工事で、石油化学業界の再編の波を考えるとJXエンジとの合併時代は合理的なのでしょう。国内石油化学がシュリンクする中で飛躍は難しいかもしれませんが、今後も細々としぶとくビジネスしていきそうな会社です。

2021年1月末現在のPER5程度と一見割安ですが、市場のマイナス成長を考えると市場平均からのアンダーパフォームする未来が見えてきます。投資は躊躇われる水準ですが、従業員として働く分には悪くない環境なのかもしれません。

3-4. メタウォーター

2014年に上場したのが水プラント専門のメタウォーター。日本碍子と富士電機の水処理部門子会社の合併で発足しました。同じく水処理が得意な栗田工業は産業用の水処理プラント関連に対し、メタウォーターは民生用の上下水道関連が中心です。またセラミックスが得意な日本碍子系ということもあり、セラミックスフィルターろ過による浄化装置はシェアNo.1というのも大きな特徴ですね。

"annual report 2020"によると利益率の高い公民連携案件では件数ベース半分以上のシェアを持っています(2019年度)。我々の生活に直結する重要な案件を担っている企業であるのは間違いありません。ただ発足して6年、もう少し長期的に様子を見たいところです。

3-5. 太平電業

事業用発電設備や製鉄関連設備の補修工事の強みを特徴としています。1株利益率は右肩上がりですが、キャッシュフローは直近数年は厳しい状況が続いています。2018-2020中計で掲げた売上1000億円達成のためにかなり無理をしている印象です。

2020年の有価証券報告書では、売上債権増90億円、未成工事支出金増77億円でのCF悪化との記載がありました。これまで売上比率の低かった建設工事に力を入れて売上を伸ばした結果、潜在的リスクが顕在化した形ですね。売上を伸ばすときには避けて通れない道ですし、実際に売上ベースでは2018年、2019年の増加分は工事部門の伸びとなっています。

コロナ影響での工期遅れに伴う影響もありそうですが、この規模の会社として追加工事リスクや債権回収リスクはやや大きい印象です。現時点では急激に売上を伸ばしつつ営業赤字垂れ流しの「問題児」である建設部門の営業利益率もかなり苦しい展開。飛躍のための助走期間なのか破滅への序章なのか、今後数年以内に明らかになることでしょう。投資対象としてはハイリスクミドルリターンと考えます。

太平電業の補修工事部門、建設工事部門毎について、売上高と営業利益率の2015年度から2019年度までの推移を示した図。

社運を賭けてノウハウ蓄積を目指し、自社設備として立ち上げた西風新都バイオマス発電も気になる所ですね。日経BPによると、設計・調達は三菱日立パワー、施工は大豊建設、東京動力、三光設備が担当しているとのこと。EPCを目指して建設事業を拡大しようとしている状況ですが、工事専業会社からの脱却まではまだまだ時間がかかりそうです。

3-6. 富士古河E&C

プラントや空調関連の電気工事に強みを持つ富士古河E&C。親会社である富士電機や古河電工の顔色を見ながらの難しい立ち位置の中、プラント周辺の発電設備工事、空調関連、電気設備に付随する土木関連におおよそ均等分散された事業ポートフォリオが特徴です。

プラント周辺では、上下水道を中心としたインフラ関連、鉄鋼・製紙などの産業プラントなどに強みを持っています。数億円レベルの海外案件を複数持つようになってからプラント関連の売上、利益をじわじわと伸ばしてきています。

良くも悪くも大手電機子会社系列。指導の結果企業規模に比してリスク管理などは丁寧にやれているのでしょうか。2018年の営業CF以外はIR上も問題ありません。産業プラントは苦しいかもしれませんが、インフラ関連や海外案件を堅実に拡大して業績を伸ばしていくのではないでしょうか。

3-7. 田辺工業

他9社と比較して売上規模も小さく、どちらかというと請負ビジネス色が強いのが特徴です。民間プラントと機械装置などの産業設備工事が主力事業ですが、機械・電気一体でのEPC受注を目指した成長戦略を目指しています。

年間数社の大型取引が中心です。筋の良い案件を上手く選択できればいいのでしょうが、規模の経済による力関係の壁を乗り越えられるかどうか。そういう意味では自助努力だけでは辛いので、他社と比較して先行きの不透明さが顕著な印象です。

4. 結論:投資するならタクマか富士古河E&C

主要10社について、IR指標をドライにレビューしてみました。プラントエンジニアリング主要10社と言っても規模感やビジネスモデル含めて様々です。

この中では、過去の失敗を真摯に反省して自分たちでやれる範囲に絞って事業展開するタクマ、親会社の目が行き届いてIRピカピカの富士古河E&Cが投資対象としては魅力的です。

働く上ではタクマが魅力的に見えます。業績不振の際の業績と平均年収との相関が小さく、またそもそもの給与水準も高そうに見えます。本記事の考察の答え合わせは数年後になりますが、何らかの参考になれば幸いです。

プラントエンジニアリング業界は製造業と並んで製造プロセス面での知識が求められる業界です。勉強がてら国家試験にチャレンジしてみてもいいでしょう。有資格者が欲しい企業、業績意外に客観的なキャリアのエビデンスが残る個人の双方にとってwin-winです。

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筆者は素材産業所属なのでプラントを使うオーナー側です。あまり実情がわかっていないため詳しく書けませんでしたが、下記記事では業界所属エンジニアがプラントエンジニアリング産業について詳しく説明されています。

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  • この記事を書いた人

素材さん

東大卒を活かせてない経歴の社畜。工場勤務のヒントを綴ります。転職、結婚、資産形成、資格取得、仕事感。共通点ある方のヒントになれば幸いです。 転職1回目で僻地突入、転職2回目で僻地脱出。/30代前半/東大卒(学部・院)→中小→大手JTC→超大手JTC/素材開発エンジニア/既婚/3人兄弟の真ん中

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