高利益率・高配当で知られる携帯電話会社。株主目線では安定的に高配当が貰えて嬉しい限り。しかし利用者としては少しでも料金を安く抑えたいところ。
しかし巷で言われるほど携帯電話会社は暴利を貪っているのでしょうか。私たち利用者の払ったお金のうちどれだけが携帯会社の利益になっているのでしょうか。KDDIの決算資料から読み解いてみましょう。また携帯料金を節約する方法についても考えてみます。
■携帯会社の利益のために月々1062円を払っている
毎月何気なく払っている携帯料金。ぶっちゃけ携帯料金のうちどれだけが通信会社の儲けになっているのか気になりませんか。
料金プランの中で●●%は通信会社の取り分です、とはさすがに書いてありません。しかし投資家なら決算資料を読み解いて推測することが出来ます。僕はKDDI株を100株持っており、興味本位で計算してみました。
その額、毎月1062円。
どうやって計算したんだ?と思う方もいることでしょう。難しい話ではありません。一人当たり支払料金、個人部門契約者数、個人部門の営業利益が全て分かれば、一人当たりの利益額は計算できます。KDDIだけは決算資料にこれらの数値が全て含まれています。
■携帯料金の支払額平均は5860円、端末代除く
ARPAとは、Average Revenue per Accountの略。 モバイル契約者(プリペイド/MVNO除く)1人当たりの月間売上高であり、au通信ARPAは1人当たりの通信料収入、付加価値ARPAは1人当たりの付加価値収入を示す。
1人あたりの携帯料金はau通信ARPAが参考になります。端末代を除いて2018年度で月々5860円となっています。auピタットプラン(スーパーカケホ)2年縛りのプランでは、3GB以内で5480円/月、5GB以内で6480円/月です。動画を見るときはWifiや固定回線を使う人の平均的な使用量なのでしょう。
■KDDIの契約者数は2700万人
KDDI:2018年度決算資料3ページ目
KDDIの決算資料によると、個人顧客は2695万契約です。単純計算で日本人4人に1人はauの携帯を使っていることになりますね。
因みに決算資料で個人の契約数に触れているのは、3大キャリアのうちKDDIだけです。NTTドコモ、ソフトバンクは一切触れていません。お国の影響もあって利用者は携帯料金に敏感になっているので、あまりツッコミを受けたくないというのが本音なのでしょう。
■個人部門の利益を読み解くと答えにたどり着く…
2018年度決算(FY2019.3)でau通信ARPA収入は1兆7279億円(②)となっています。パーソナルセグメントの売上高は3兆8059億円(①)、パーソナルセグメント全体の営業利益は7563億円(③)。
au通信とそれ以外で利益率が同じと仮定します。au通信ARPAに相当する営業利益はARPA収入とパーソナルセグメント全体の売上比率にパーソナルセグメント全体の営業利益を掛けます。7563億円×(1兆7279億円/3兆8059億円)=3434億円/年
これがau通信ARPAの営業利益総額となります。これをau通信の契約者数はモバイルID数である2695万人で割ると、一人当たりの年間営業利益がでます。
3434億円/2695万人 = 12,741円/(年・人)
これは月々1062円です。つまり一人当たり平均で月々1062円を、携帯通信の儲けとして献上していることになります。
僕のようにガラホ電話のみで月々1320円しか払っていない人もいます。たくさん通信している人はもっと献上していることでしょう。参考までに僕の4月のau電話の請求額です。
【KDDI】利益率18%は暴利なのか?
KDDIの携帯料金と一人当たり利益についておさらいします。端末代を除くと一人当たりの通信費は月々5860円、そのうち通信会社の利益は1062円です。利益率に換算すると18%。暴利を貪っている、というのはいささか言い過ぎです。
端末が壊れたりしたら、窓口で丁寧に対応してくれます。端末を買い替える際も全部手続きをして、すぐに使える状態までしてもらえます。至れり尽せりのサービスの対価としては、適正な利潤と言えそうです。
コンビニ弁当が400円で売っていたとします。原価が320円、80円は手間賃としてちょーだい、と言われたとします。自炊が嫌な人なら納得できるでしょう。「携帯料金は高すぎる」という政府の言い分に対して、株主目線で考える通信会社が猛抗議するのも当然です。
■利益献上する余裕のない人は格安SIMにしよう
通信会社にお金を恵んであげるほど余裕はないという人もたくさんいる事でしょう。そういう人は格安SIMにしましょう。
手続きは自分でやる必要があります。端末は自分で用意して、壊れたら自分で修理や買い替えの手続きをやる必要もあります。それでもデメリットを上回る節約効果があると僕は思っています。
端末はオークションで中古端末を購入すれば安く済みます。2年前の機種でも十分快適に使えます。多少傷がついていてもカバーをつければわかりません。
■我が家の携帯料金は2人で5000円以下
我が家は夫婦とも格安SIMにしています。妻は2015年から、僕は2016年から利用しています。2人分で年額10万くらいは節約できていることになります。
途中で端末が壊れたこともありますが、症状をネットで調べて解決しました。それでも復旧できなかったときはヤフオクで3万くらいの端末を購入しました。
僕は諸事情でスマホとガラケーを2台持ちしています。スマホはUQモバイルで通信プランのみ、ガラケーはauでスーパーカケホで通信なしにしています。スマホが1060円、auガラケーが1320円なので、月々の携帯代は2380円です。5分以上の通話をした月はもう少しかかりますが、3000円を超えたことはありません。
妻はスマホ1台、UQモバイルで通信+音声プランとしています。通話量にもよりますが、月々の携帯代は平均で2500円くらいです。
■auを使っている人はUQモバイルがオススメ
通信品質に不安がある人は、同じau系列のUQモバイルが良いでしょう。au子会社が運営しているので、通信品質も格安SIMを感じさせません。僕はUQモバイルを3年以上使っていますが、昼休みの首都圏でも快適に使えます。
しかもauの機種を使っている人は、お手元の端末で利用できます。auの窓口で解約をする際に「SIMロック解除してください」と言って3000円払えば、格安SIMをお手持ちの携帯電話でそのまま使えるようになります。
■docomoを使っている人はマイネオがオススメ
お手持ちの電話がdocomoで、かつ通信品質にこだわりのない人はどうでもいいという人はmineo(mineo Dプラン シングルタイプ 5GB)、楽天モバイルなどが良いでしょう。mineoは5GBまでのデータ通信もお得に使えて、家計の味方です。お昼時はちょっと遅くなるそうですが、田舎暮らしの人は影響も軽微なのでおススメです。
softbankを使っている人はY-mobileが良いでしょう。このサイトからでなくても良いので、是非しらべてみてください。
■KDDIの携帯料金は妥当、高いと思う人は格安SIMを使え
KDDIの決算資料から携帯電話料金一人分の利益を確認してみました。auの場合、月々1062円をKDDIに献上していることになります。ただし利益率は18%、それほど暴利を貪っているとは言えません。
それでも高い、もったいない、と思う人もいることでしょう。そんなに不満があるなら使わなければよいのです。利用者にはサービスを選ぶ権利があります。面倒で選ぶ権利を放棄するなら、潔く手間賃を大手通信会社に献上するしかありません。
しかしわずかな手間と引き換えに格安SIMを選ぶならそれほど高くありません。ざっくり半額くらいになるイメージです。
通信料金に価値があるのかよく考えましょう。一人当たり月々5~6千円のお金を払う価値を僕は見出せませんでした。疑問に思って色々調べて、格安SIMにたどり着きました。今のようにCMでやっている時代ではなく格安SIM黎明期の2015-2016年に、です。
ケチケチするのは嫌だ、と思った人もいるでしょう。しかし富裕層ほど格安SIMを使っているそうです。富裕層は自分が払うお金の価値に敏感なのです。すぐにお金持ちにはなれませんが、使うお金にはシビアになりましょう。収入を増やすのが難しい時代の中で、資産形成の種銭捻出のための第一歩になるでしょう。
意図的なミスリードに振り回されないためには、相応の判断能力を身に着けることが必要です。テレビではスポンサーにとって都合の悪い情報は報道されません。安易に騙されないようなリテラシーを備えた品格のある大人になりましょう。
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