子どもの頃にスイミング教室に通っていた人にはなじみのある水泳。だからこそ大人になってから始めるにはハードルが高いもの。
筆者は社会人生活が始まった20代半ばから25mが泳ぎ切れないところから始めて、7年経った今では水泳を趣味として続けることが出来ています。小学校の授業以来泳いだことのなかった筆者が、カナヅチから水泳を趣味にするまでの軌跡を綴ってみました。社会人になってから水泳にチャレンジしたいと思っている方にとって、一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。
1. 社会人までの水泳歴
1-1. 小学校時代:溺れてると馬鹿にされた日々
2021年時点でミドサーの筆者。今でこそ水泳が至福のひと時となっていますが、小学校時代泳ぐことはもちろん運動全般が大の苦手でした。小学校のマラソン大会では百数十人中、下から一桁でした。
ブランクとは言ってますが、そもそも水泳教室にも通っていませんでした。小学校低学年での水泳記録はたった4m!夏の学校の授業のみで25mを泳ぎきることを目標としていたレベルです。小6夏に25mを根性で泳ぎ切りましたが、溺れているのと区別がつかないと馬鹿にされたのはいい思い出。
1-2. 中高プール無、水泳とは無縁の学生生活
貧乏な学校だったのでプールなし。当然水泳の授業もありません。さすがに東大にはプールがありましたが、溺れていると馬鹿にされた過去がフラッシュバック。自意識過剰な時期という事もあって、自信のない体型を露出する水着姿を露出することに抵抗があったのも後押し。大学ではプールに近づくことすらありませんでした。周囲の人なんてだれも気にも留めてないものですが、当時の筆者はついつい気になるお年頃だったみたいです。
1-3. 社会人2年目、25歳からの挑戦
転機は25歳の時。大学の時から趣味にしていたジョギングで膝を痛め、代わりの運動として選んだのが水泳でした。好き放題飲み食いしても太らないよう、カロリーを消費できる運動なら何でも良かったです。
球技は吐くほど苦手だったので、球技以外で怪我しにくく続けられるので選びました。それから2022年現在に至るまで、7年も続いています。今考えても不思議なものですね。
2. 社会人の趣味として水泳をオススメする3つの理由
25歳から水泳を始めた筆者だからこそ感じる、社会人の趣味としてオススメできる理由は大きく3つあります。学生時代とは違って、仕事の忙しい中でも続けるのは予想以上に大変です。相応のメリットが得られる方が続けるモチベーションが生まれますからね。
2-1. 理由①:疲れにくくなる
仕事や運動で疲れにくくなったというのが一番大きいかったです。人間は適度な運動が必要なようで、精神的にも肉体的にも疲弊しにくくなりました。頭の回転が鈍りにくくなって仕事の効率も上がっています。
2-2. 理由②:マイペースに継続できる
2つ目は個人種目なのでマイペースに続けられることです。筆者は昔から運動に対して苦手意識があり、集団スポーツではいつも迷惑がられている存在でした。だからこそ余計な気を使って消耗することのない水泳は、運動に苦手意識がある人だからこそ趣味として長く取り組むのにお勧めできるスポーツです。
そうでなくても社会人になると他の人と予定を調整するのも大変です。一人で隙間時間にサクッとできる水泳は、社会人の趣味として最適です。
2-3. 理由③:風邪をひきにくくなる
3つ目は風邪をひきにくくなったことです。正直想定していませんでしたが、予想外のメリットでした。失ってから初めて気づくと言われる健康状態をキープできる手段だからこそ、生涯スポーツに最適です。
2-4. その他にもメリットがたくさん
3つの理由以外にも、水泳には他のスポーツにはないメリットがたくさんあります。
- 怪我のリスクが少ない
- 太りにくくなった
- マッチョになりすぎない
- 運動しても汗臭くない
- 夏も冬も温水プールで快適
- 運動後、そのままシャワーを浴びられる
3. 趣味として水泳を始めるための準備
3-1. 道具を購入
大人になって初めて水泳にチャレンジしたいと思ったら、深く考えずにまずは道具を揃えましょう。いろんな不安は僕も抱えてましたが、意外と大した問題ではありません。
数千円で道具を全て揃えられます。一回飲み会を我慢する程度ですね。社会人なら最悪お蔵入りしたとしても大きな痛手にはならないのが、水泳の良いところでもあります。
3-2. 必須アイテム5点+任意アイテム2点+好みで書籍も
3-2-1. 必須アイテム5点は安価で揃えるのがベター
- 水着
- スイムキャップ(水泳帽)
- 水中ゴーグル
- セームタオル(バスタオルで代用可)
- プールバッグ
初めは無難な色で安価なものの購入をお勧めします。続けられるか不安な中で高価なものを購入するのも抵抗があるでしょう。だからと言って考えすぎて購入に踏み切れないのも勿体ないです。僕も最初はセットで2000円くらいのものにしました。腰が重くならないよう、とりあえず買い物かごに入れておくのが良いでしょう。
水着とスイムキャップの色はブラックが無難です。筆者は最近緑色のものを使ってますが、派手な色はちょっと浮くので初心者だと恥ずかしいかもしれません。水着、スイムキャップ、ゴーグルは消耗品なので、続けられそうなら買い替えのタイミングでグレードを上げたり好みの色に買い替えましょう。
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プールバッグやセームタオルは手持ちのビニール袋やバスタオルでも代用は可能です。しかし気軽にプールに立ち寄れることが大事なので、ケチらず購入することをお勧めします。
3-2-2. 必要に応じて追加するアイテム2点
- 耳栓
- 鼻栓
一応挙げてみましたが、よほど水に抵抗がある方でない限り要らないと思います。耳栓を使ってる方は稀に見ますが、鼻栓を使っている方は7年間で2回くらいしか見たことがありません。
3-2-3. 好みに応じて書籍も
泳ぐことがイメージしにくい人は初心者向け書籍も参考になります。筆者は割と早い段階で買いましたが、もっと早く買っておけばよかったと思いました。
人から教わるのが恥ずかしいという人はもちろん、体系的に知りたいという人、座学から入りたい人は合わせてどうぞ。座学と実践のつなぎにも有効です。
4. 社会人から水泳の始めるには
4-1. 公営プールかジムの無料体験がおすすめ
道具を買ったらあれこれ考えずにプールに行きましょう。ただし立地や時間帯によって年齢層や雰囲気は変わるので、いきなりジムで会費を払うのはお勧めしません。都心なら平日夜のサラリーマン利用が多いでしょうし、住宅街なら平日昼~夕方と土日の日中にマダムや子どもが多かったりします。
公営プールは数百円なのでハードルは低いです。ジムの場合でも初回は無料だったり、初回のみ格安で体験できるところが多いです。
プールデビューのおススメは土曜日の夜。土曜夜は人が少ないことも多いです。平日夜は仕事終わりのガチ泳ぎサラリーマンが多かったり、休日日中は泳ぎに命かけてるおばさんお姉さんがいたりして恥ずかしいかもしれません。実は日曜夜も人が少ないのですが、水泳習慣のない人のプールは意外と疲れます。日曜休みの方なら人が少なくて翌日にゆっくり休める土曜夜がいいでしょう。
それでも泳げるか不安だったり恥ずかしいと感じるなら、堂々と水中で歩きましょう。歩くだけなら泳げない人でも大丈夫。水の抵抗もあって意外とエネルギーも消費します。周りの雰囲気を見ながらちょっとだけ泳いでみてもいいでしょう。
続けれられそうなら自分が通いやすい時間帯でもう1度体験してみましょう。ジムの場合は事情を相談してみれば、有料で追加体験できるかもしれません。
4-2. 社会人で泳げなくても大丈夫
大人になってカナヅチでプールに行くのは不安ですよね。周りでガシガシ泳いでいる中、数mしか泳げなかったりして恥ずかしいな、等と想像するかもしれません。
でも安心して下さい。2回にわたる転居で常連として5か所のプール・ジムに通い、出張先の公営プールに計20か所以上行きましたが、 どの場所も初心者でも安心して利用できるようになっていました。
25m泳ぐレーン、立ち止まっても良いレーン、歩くだけのレーンが分かれているところが殆ど。 意外とグイグイ泳いでいる人ばかりではありません。 初心者から上級者までみんなが楽しめる配慮がされています。
わからなければ受付や監視員の人に聞けば、丁寧に教えてもらえます。僕もいまだに出張先や転居先などで初めて使う公営プールでは、受付で利用ルールを確認しています。
4-3. 自分の体型も気にする必要なし
実は太りすぎてて身体を見られるのが恥ずかしい、なんて人もいるかもしれませんが心配無用です。太ってるけど頑張って痩せたい、と思って一生懸命プール通いしている人もたくさんいます。
そこそこ泳げるようになった自分から見ても、挫折しないように頑張って!としか思いません。一生懸命やっている人を嘲笑うような民度の低い人はプールにいないので安心してください。
4-4. 無料レッスンが受けられることも
ジム等であれば、追加料金不要のレッスンをやっているところも。どの上達段階でも第3者からのアドバイスは上達を加速させます。レッスンもレベル別で25m完泳を目指すコースから、大会でタイムに拘るコースまで色々あります。
筆者も最初の1年半はジムでお世話になりました。あまりオープンな説明がないことも多いですが、レッスン開始前にコーチの方に勇気を出して「このレッスン参加することできますか?」と声を掛けてみましょう。筆者の場合はその場であっさり参加OKとなりました。レベルが合わないレッスンの場合、レベルにあったレッスンの時間帯を教えてもらえるでしょう。
上達を加速させて続けるモチベーションを保ち、変な癖をつけて後々上達が妨げられないように積極的な利用をお勧めします。
5. 趣味として7年続いている4つの理由
5-1. 理由①:プールに行く理由を作る
25m完泳できないところから思い立ってから7年間、水泳を続けられているコツがあります。それはプールに行く理由を作ることです。大した目標である必要はありません。理由は何だってかまいません。
- 会費が勿体ないので週に2回以上はプールに行く。そのために平日も最低1日は頑張って早く帰る。
- 家で風呂に入るのが面倒なので、最終チェックインに間に合うならプールに行く。
- プールで30分以上運動し続けたらご褒美。その日はビールを2杯飲んでも食べたいものを食べてもOK。
こんなに下らない理由でも、なんと7年間も続いちゃってます。結婚してからも、休日でも子どもを寝かしつけてからプールに行ってます。
5-2. 理由②:自宅から近い
もし選択肢が複数あるようなら、家から近い場所を選びましょう。プール通いで一番面倒なのはプールにたどり着くことです。プールに行ってしまえば、何もせずに帰るなんてありえないですからね。
設備や新しさ等気になる点もあるかもしれませんが、とにかく通いやすいところがおススメです。筆者の場合、最寄駅から自宅までの途中で寄れるところです。ちょっと寄り道する感覚でプールに入れるメリットは大きいです。田舎暮らしの時は車で5分のプールに通っていました。
ぶっちゃけ色々不満はあります。設備はちょっと古いし、営業時間は短いし、休日はやたら混んでいるし。。。それでも片道30分かかる場所では続かないと思って、今のプールに通い続けています。
5-3. 理由③:毎回小さな目標を立てる
プール通いを続けるコツはまだまだあります。趣味とは言え継続には目標設定が不可欠。、プールに向かう道中でその日の目標を立てましょう。どんなに小さい目標でも構いませんが、ちょっと頑張れば達成できるレベルの目標を「毎回」立てることが継続の秘訣です。
筆者の場合、期間ごとに立てた目標を紹介します。
- 最初の2週間:クロールで25mを泳ぎ切る
- 次の2週間:クロールで合計100m止まらずに泳ぐ
- 2~3か月目:4回水を描くまで息継ぎ我慢
- 4~6か月目:クロールで200m止まらず泳ぐ+500m泳ぐ
- (中略)7年目現在:クロールで1.5kmを25分以内に泳ぐ
最初は距離○○m、泳法マスターなど、休みながらでも時間をかければ達成可能な目標が良いでしょう。ちょっとずつマンネリ化してきたら連続距離を伸ばしたり、目標タイムを設定したりすると飽きなく続けられるでしょう。
目標設定のためには補助道具を揃えることも役立ちます。Garmin swim2を買ってから 距離、タイム、心拍数が測定できるようになり、モチベーションアップとともに上達スピードが上がりました。
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5-4. 理由④:最初の1か月を根性で乗り切った
継続には最初の1か月が勝負です。兎に角初めは溺れそうになりながら、たった25mで全力疾走並に息が切れます。今では1kmくらい楽々泳げる筆者ですが、25歳の時はたった25mを必死に泳いでました。
今では4泳法もマスターし、クロールでそれほど長い距離でなければ25mを25秒で泳げます。50m/55秒で3kmくらい泳ぐこともできるようになりました。
色々深く考えすぎず、まずは気軽に水着を買ってみましょう。そしてプールへ入ってみましょう。一歩踏み出してみましょう。
6. 水泳を始めるのに必要なのは勇気だけ
継続は力なりですが、なかなか続けるのは難しいですよね。特にスイムは隣のレーンで速い人を見ると非力さを感じて挫折しそうになることも多いでしょう。
しかし水泳は個人種目です。泳ぎが下手だからと言って誰かに迷惑をかけるわけではありません。続けることで自分の健康維持にも役立ちますし、自身の活力や若さを維持する源泉にもなるでしょう。悩んでいる人は是非第一歩を踏み出してみてください。
妻が妊娠してからマラソンはすっかりご無沙汰ですが、実はマラソンもサブ4持ちです。子どもがもう少し大きくなったらサブ3.75へのチャレンジ再開したいところです。
継続は力なりですが、大人になると継続して物事に取り組むのが難しくなってきますよね。己を鍛えるためにも、なんとか時間を捻出して勉強にも時間を割いていきたいものです。
サブ3.75に向けてトレーニング開始~ラン/スイム/スキー~
昨日からフルマラソンに向けてトレーニングを開始しました。今年のトレーニングメニューを考えるため、これまでのランニングにまつわる経歴を振り返り、去年のフルマラソン出場までのトレーニング履歴を確認してみました。
大人になっても勉強し続けよう
歳をとって衰えるのは体力だけでは済みません。 流されるようにサラリーマンをやっていると、知力まで衰えてしまいます。日本の大人は凝り固まってしまってありきたりの発想しかできなくなってきます。人としての能力が劣化すると言い換えてもいいでしょう。 いつまでも社会に価値を提供し続ける大人でいるために、我々は何をすればよいのでしょうか。