ぬるい会社での勤務に嫌気がさして転職、というのはよくある話。ところでそもそもぬるい会社ってどんな会社のことを指すのでしょうか。ヌルイ会社から逃げるようにして転職することはキャリア上のメリットがあるのでしょうか。
ヌルイ会社とか、ぬるま湯につかった社員などと言う表現も良く聞く割にはあいまいですよね。と言うわけで「ぬるい会社」に勤める筆者がヌルイ会社の特徴、ぬるい会社に勤めるメリットについて真面目に考えてみます。
1. ぬるい会社の4つの特徴
ぬるい会社を端的に表現すると、「社員に甘い」。この一言につきます。ぬるま湯につかった会社・企業と言い換えることもできますね。
会社の存続意義と言えば、社会貢献と利益確保を両立すること。この本来の会社の意義が組織として失われてしまっているのがぬるい会社であり、社員に対して優しいのではなく甘くなってしまいます。そんなヌルイ会社の特徴を考えてみました。
一つ一つを抜き出してみればそれだけでヌルイ会社とは言えませんが、当てはまる項目が多い会社はぬるい会社と言えます。そんなヌルイ会社の特徴を挙げてみましょう。
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1-1. 特徴①:適度なプレッシャーがない
社会貢献と利益確保を共存させるためには、社員にも相応のプレッシャーが必要です。適度なプレッシャーの欠如、これがぬるい会社の代表的な特徴です。
管理職・社員だけでなく経営者でさえ確実に達成可能な低い目標を設定して、のらりくらりと目標達成ですと言っている会社も実存します。ぬるま湯につかりきったズブズブの会社ですね。
1-2. 特徴②:待遇や労働環境が安定
所謂ホワイト企業ですね。待遇や労働環境が安定していること自体は良いことです。ブラック労働が蔓延している会社も多い中、非常に恵まれた環境であると言えるでしょう。所謂「社員にとって優しい」会社ですね。
一方で安定とは、成果が出ても出なくても、或いは大きな失敗をしても大きく待遇が変わらないことをも意味します。一生懸命頑張っている従業員が割を食い、適当に仕事している人でも同じお給料が貰えてしまう環境とも換言できます。
もちろんこれだけでぬるい会社と言うにはあまりにも乱暴です。大きな成果を残すには失敗もつきもの。一度や二度の失敗で待遇悪化してしまう会社であれば、優秀な人がチャレンジしようとは思わなくなることでしょう。昨今は実力主義が叫ばれ年功序列を悪とされる風潮ですが、待遇や労働環境の安定感は優秀な人材確保にも必要な要件です。
ただ社齢が長くなってくると、現在の立ち位置が諸先輩方の努力の賜物という事実を従業員が忘れたり、そもそも諸先輩が苦労された時代を知らない人が増えてきます。その結果、待遇や労働環境が当たり前だと誤解する従業員が増えてしまえば、組織全体が加速度的にぬるま湯になっていきます。
特徴①で挙げた適度なプレッシャーにも通じますが、待遇や労働環境が「安定」している会社はヌルい会社になる土壌があるとは言えそうです。ホワイト企業とぬるい企業は紙一重ですね。
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1-3. 特徴③:保守的でチャレンジ精神に欠ける人が多い
言われていることだけやっていればいいと考える人が多いのもぬるい会社の特徴です。上司に叱られない程度にやることやっていれば程々のお給料がもらえてしまうからです。
チャレンジするのって大変だし、はっきり言ってメンドクサイです。組織で新しいチャレンジをするには、自らの負荷が上がってしまうことが避けられないからです。上司は指示していないけど組織にとって有益な事にチャレンジしようとしても、上司からの指示はきっちり遂行しなければなりません。
また組織では自分一人で出来ることが少ない為、周りの人を巻き込みます。だから周囲の人にも相応の協力を求めることになります。しかし保守的でチャレンジ精神に欠ける人が多い組織では、協力を取り付けるだけでも一苦労。各自の慣れ親しんだ業務以外には関わりたくないのがヌルイ会社の従業員の本音であり、仕事増やすなって平然とキレる人だって珍しくありません。
こうして新しいチャレンジを始めるハードルが上がり、組織全体に閉塞感が育つの循環ループが完成します。ぬるい会社・組織が保守的でチャレンジ精神に欠ける人が多いのは必然と言えそうです。
1-4. 特徴④:向上心に乏しい従業員が多い
無気力で向上心に乏しい従業員が多いのもぬるい会社の特徴です。例えば資格一つであっても、ヌルイ会社では上司に促されて渋々取得している人が大半。自らの意思で資格の勉強をして取得しようと考える人は少ない傾向にあります。もちろん筆者も"向上心=資格取得が全て"とは思っていませんが、資格以外の切り口でも同様の特徴があるのではないでしょうか。
こうした向上心に欠ける人が増えるメカニズムには2種類あると筆者は考えます。大企業の下請け会社の一部では、仕事内容が極めて具体的で単純な仕事が降ってきます。誰がやっても同じ仕事をのんびりこなしても満足なお給料がもらえるし、新しいことをやってチャレンジしてもお給料が増えるわけでもない。そんな環境で向上心を保つのは難しいことでしょう。こうした会社が担当する職務領域起因で、向上心に乏しい従業員が出来上がるケースを目にしたことがあります。
一方で元々ハイスペックな人をたくさん採用している会社でも、ヌルい会社は存在します。
実は優秀な人が多い企業こそ、優秀な人が1人欠けても会社の業務が回るように標準化が進んでいる会社が多いです。その結果、スキルがない人でも仕事を回せてしまえるように見えてしまいます。組織として優秀な会社の一側面だけを見て嫌気がさしてしまい、元優秀な人から向上心が抜け落ちてしまうケースもあります。実際に人が余っている会社では、ダブついた従業員にこうした簡単な仕事を任せるケースもあり、一定の納得感はあるようにも見えます。
1-5. ぬるま湯の会社の特徴まとめ
ヌルイ会社の4つの特徴をおさらいします。
- 適度なプレッシャーがない
- 待遇や労働環境が安定
- 保守的でチャレンジ精神に欠ける人が多い
- 向上心に乏しい従業員が多い
一つ一つは単独でヌルイ会社とまでは言えませんが、当てはまる数が多いほどぬるい会社度は高いと言えそうです。
旧き「良き」大企業の多くはヌルイと言われていますが、会社の従業員に対する優しさをはき違えた人がたくさんいるからです。こうした状況の存続を、結果として組織的に許している経営陣の怠慢とも言えます。実際には「実力主義」という名目で人件費削減を進めることしか能のない経営陣の下で、従業員自らぬるま湯からわざわざ脱却しようと考えるメリットも小さいですからね。
ヌルイ会社は無能な経営陣とぶら下がることしか考えない従業員のお互いの利害が一致した結果の産物とも言えそうです。
2. ぬるい企業に勤めるメリット
ぬるい企業にいると自分がダメになるから転職しよう!なんて巷では良く聞きます。しかしヌルイ会社は本当に悪なのでしょうか。
確かに他責思考で転職して環境改善するのもひとつの選択肢ではあります。しかし転職経験が複数あってもぬるい会社しか知らない筆者ですが、実は転職する前にそのぬるま湯を使って自分のレベルを上げるチャンスに満ち溢れているものです。
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筆者はぬるま湯につかった社員が多い中でも実績を挙げることに拘り、結果として望みのキャリアを手にしています。そこでヌルイ会社に勤務するメリットも紹介しましょう。
2-1. メリット①:楽して安定したお給料が手に入る
一般的にぬるい会社と言うと楽ちんと言うイメージが多いかもしれません。実体はそれほど頭を使わずに心を無にして淡々と業務を進めることで、時間をお金に変えるというイメージの方が近いでしょう。それでも「楽して」安定してほどほどのお給料が手に入るなら、多くの人にとって魅力的な環境であることは間違いないです。その環境が永続すれば、という前提ですけどね。
2-2. メリット②:実績を積むチャンスがいっぱい
一見矛盾するようにも思えますが、実はぬるい会社ならではの大きなメリットです。ぬるい会社を経験している筆者としては、こちらのメリットを押したいです。
やる気のない社員が多いという事は、自分がやる気を出せばその環境でやりたいことを実現できる可能性があるという事です。優秀な人がやる気を出している環境の中で、やりたいことをしっかりこなして他の人よりも成果を出すことは難易度が高いです。一方で腐った人が多ければ、少し頑張っただけで抜きん出られる可能性があります。
またぬるい会社は組織的な産物であるケースもあり、本来個としては優秀な人が多い組織でも起こりえます。うまく周囲の人をリードすることができれば、本来優秀なはずの社員を上手く使って組織としての力を取り戻せる可能性も。
実績を積んだ上でぬるい会社で上を目指すも良し、実績を武器にして他社に転職しても良いでしょう。ぬるい会社も案外捨てたもんじゃないです。
筆者の場合、ぬるま湯で誰もがめんどくさがって取りたがらない資格でも、立候補して社費で取得して奨励金まで貰えました。ぬるま湯で腐るも良し、逃げ出すも良しですが、せっかくのぬるま湯を最大限堪能させてもらうのもいいものです。
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他責思考になって逃げだすのはカンタンですが、実績を積んでからランクアップ転職して望みのキャリアを手に入れるという道もあります。筆者はぬるま湯中小企業でしっかり実績を残させてもらって、大手に転職出来ました。
いまの自分に満足な実績がないなら、ぬるい会社はステップアップを前提としてしっかり実績を出させてもらう環境としては申し分ないです。踏み台として利用するなら、この上なく最高の環境であるとも言えるのです。
もちろん転職市場でどんなニーズがあるかをしっかりリサーチしてから実績を積むのは大事です。転職エージェントに流されないように、上手く転職エージェントを使ってリサーチするのもお勧めです。
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