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企業分析

【大手7社徹底比較】自動車業界ならトヨタかスズキ

2021-03-01

【2020年3月期版】自動車メーカー業界の大手7社IR情報を15年間推移で徹底比較しました。

自動車業界に投資するならトヨタ自動車かスズキでしょう。各種IR指標の15年推移比較から妥当性を確認してみます。無資格者による検査でリコール騒ぎとなった日産自動車株(東証, 7201)を買い増しした黒歴史の反省も込めて、徹底分析してみました。

■目次

1.自動車業界大手7社とは
2.自動車メーカー大手7社のIR比較
 2-1. 比較①:株価推移
 2-2. 比較②:売上高の推移
 2-3. 比較③:自動車販売台数の推移
 2-4. 比較④:営業利益率の推移
 2-5. 比較⑤:R&D費/売上高比率の推移
 2-6. 比較⑥:従業員1人当たり売上高/営業利益の推移
 2-7. 比較⑦:自己資本比率の推移
 2-8. 比較⑧:平均年収の推移
3. 自動車大手7社のCFとEPS推移  3-1. IR推移①:トヨタ自動車
 3-2. IR推移②:スズキ
 3-3. IR推移③:本田技研工業
 3-4. IR推移④:日産自動車
 3-5. IR推移⑤:SUBARU
 3-6. IR推移⑥:マツダ
 3-7. IR推移⑦:三菱自動車
3.自動車業界に投資するならトヨタかスズキ

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1. 自動車業界大手7社とは

自動車業界の国内大手としてはトヨタ自動車(2019年売上高29.9兆円)、本田技研工業(同14.9兆円)、日産自動車(同9.9兆円)、スズキ(同3.5兆円)、マツダ(同3.4兆円)、SUBARU(同3.3兆円)、三菱自動車(同2.3兆円)、いすゞ自動車(同2.1兆円)の8社ですね。

このうち商用車主体のいすゞ自動車を除く7社について、IR推移を徹底比較しました。本記事は投資家目線ですが、就職、転職を検討されている方、ユーザーとして自動車を使われている方もよろしければどうぞ。

日産自は高配当につられて塩漬け買い増しからの、営業CF赤字・無配転落で損切した黒歴史があります。日産株はルノーが43.4%を握っていて、ルノーが資金を吸い上げる構造になっていることで配当利回りが高止まりしていると考えられます。(参考記事;「配当利回り4.9%! 日産自動車(7201)の株価が“気持ち悪いほど”割安になっている理由」

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2. 自動車メーカー大手7社のIR比較

自動車メーカー大手7社(トヨタ日産自ホンダマツダSUBARU三菱自スズキ)について、15年分の長期推移を徹底比較しました。有価証券報告書の記載事項などを整理してまとめたものとなります。

比較項目は株価、売上高、自動車販売台数、営業利益率、R&D比率、従業員1人あたり売上・営業利益、自己資本比率、平均年収の8項目です。

2-1.比較①:株価推移

まずは投資家目線で一番気になる株価の推移を確認します。ベンチマークとして日経225平均(黄色線)も合わせて図中に記載しました。

自動車メーカー大手7社(トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、SUBARU(富士重工)、三菱自動車、スズキ)と日経225平均株価の2004年度から2019年度までの株価推移を比較した図

アイサイトなどでブランド価値を飛躍的に高めたSUBARU(赤線)が目立ちます。ただ2014~2018年はやや過大評価されてしまっていたようで、燃費規制強化や電動化トレンドなどで直近は再び低迷していますね。

唯一日経平均をアウトパフォームしているのはスズキ。国内ではあまり存在感がありませんが、インドをはじめ東南アジアの小型化市場で着実に地位を固めていることが好感されているのかもしれません。

三菱自動車はリーマンショック底値と比較しても85%下落と惨憺たる状況です。2000年、2004年の2度わたるリコール隠しで潰れかけた歴史に懲りず、2016年には不正発覚後も継続された燃費偽装で市場からの信頼は地に落ちました影響でしょうか。

三菱商事出身で自動車を運転したことがない益子元CEOの的外れな「選択と集中」で傷口を広げてしまいました。三菱グループからもお荷物扱いをされてしまう始末。株式投資は丁寧に企業を見極めないと資産を溶かしてしまうことがわかる好例ですね。

2-2. 比較②:売上高の推移

まず連結売上高の比較です。売上高の推移はトヨタがダントツ1位(2019年度は29.9兆円)、2位はホンダ(同14.9兆円、うち2.1兆円は2輪)。日産(同9.9兆円)は3位で、リーマンショック後にホンダの背中が遠のいているように見えます。

自動車メーカー大手7社(トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、SUBARU(富士重工)、三菱自動車、スズキ)の2004年度から2019年度までの売上高推移を比較した図

スズキ(同3.5兆円、うち2輪2400億円)、マツダ(同3.4兆円)、SUBARU(同3.3兆円)は接戦ですが、長期的に売上をのばしているスズキ、SUBARUと、思うように伸びないマツダというように勢いは随分異なります。

度重なる不正を繰り返してきた三菱自動車(同2.3兆円)は過去15年間で売上がほぼ横ばいとかなり苦しい展開ですね。

自動車業界ほど売り上げ規模は大きくありませんが、日本企業が競争力を保っている電子部品業界。メーカーとしては変わらず成長を続ける珍しい業種で、村田製作所と日本電産が競い合っている構造ですね。

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2-3. 比較③:自動車販売台数の推移

次に自動車販売台数の推移を示します。まずは販売台数の絶対値で各社の規模感を確認してみます。ぶっちぎりのトヨタは感覚通りですね。

2位は日産(493万台)、3位はホンダ(479万台)となっていますが、2輪を除いても売上順と逆になっているのは着目すべき点でしょう。ホンダの方が高単価品をたくさん販売しているように見えます。ゴーンの販売台数を優先する方針がこうしたところからも垣間見えます。

個人的に意外だったのは4位につけたスズキですね。着実に販売台数を伸ばし4位に来ています。海外、特にインドと東南アジアに強みを持っている分、日本人の実感とはずれているのかもしれません。

自動車メーカー大手7社(トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、SUBARU(富士重工)、三菱自動車、スズキ)の2004年度から2019年度までの自動車販売台数推移を比較した図

相対値表記に変えると景色が随分変わります。SUBARU、スズキ、販売台数増加の勢いはすさまじいものがありますね。逆に三菱自はかなり苦しい状況からなかなか脱却できていない様子。

2005年度の自動車販売台数を100としたときの、自動車メーカー大手7社(トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、SUBARU(富士重工)、三菱自動車、スズキ)の2004年度から2019年度までの推移を比較した図

2-4. 比較④:営業利益率・1台当たり営業利益の推移

次に営業利益率です。特別損失や事業外の要素を除いた実力ベースでの稼ぐ力を確認します。

自動車メーカー大手7社(トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、SUBARU(富士重工)、三菱自動車、スズキ)の2004年度から2019年度までの営業利益率推移を比較した図

トヨタの安定した高収益体質は見事です。アベノミクス発動の2013年以降、10%弱の営業利益率を安定の確保してきています。

ここで着目したいのはスズキです。元々それほど悪くありませんでしたが、リーマンショックでもそれほど利益率を落とさず、リーマンショック後もじわじわと営業利益率を上げてきています。東南アジアでの強みが表れている形ですね。

SUBARUは小型車撤退などの選択と集中で高利益体質への転換に見事成功しました。電動化の波に呑まれて足元は停滞気味です。skyactivで値引き販売から脱却できたマツダも、電動化の波に呑まれたのでしょうか。尖った車種展開をしているこの2社の今後の行方が気になる所です。

日産自はゴーン体制のツケを払う形で右肩下がりの苦しい展開です。三菱自も苦しい展開で、日産連合の暗雲が垣間見えますね。

1台当たりの影響利益率に着目すると、王者トヨタの1強がはっきり表れますね。逆に薄利多売で相応の営業利益率を出しているスズキの健闘ぶりも読み取れます。

2-5. 比較⑤:研究開発費比率の推移

研究開発費(R&D)比率を確認します。製造業は研究開発にどれだけ人材とカネをかけているかが将来の明暗を分けます。研究費なしでいいモノづくりをするのは難しいでしょう。この目線でみると、ホンダがトップを走っていて日産が続いています。

自動車メーカー大手7社(トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、SUBARU(富士重工)、三菱自動車、スズキ)の2004年度から2019年度までの研究開発費・売上高比の推移を比較した図

自動車について先進的なイメージのないホンダがトップというのは意外でしたが、2輪事業の影響もあるのでしょうか。日産は電気自動車関連にリソースを投入しているためでしょうか、R&D比率としてははそれほど悪くありません。

ちなみに三菱は2006~2012年までR&D比率最下位です。売上高も業界下位なので開発らしい開発はさせてもらえなかったと推測されます。度重なるリコールによる苦境で、益子元社長就任直後から研究開発費に手を付けてしまったのが痛手ですね。これだけ競合他社と水をあけられている状況では、燃費偽装で大問題になったのも頷けます。カネをかけずに鉛筆を舐めるという企業風土は、研究開発費をケチることから始まるのでしょう。

自動車メーカー大手7社(トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、SUBARU(富士重工)、三菱自動車、スズキ)の2004年度から2019年度までの研究開発費の推移を比較した図

研究開発費の絶対額推移をみると、これまた景色が変わります。利益率でみるとトヨタは圧倒的な安定感を示しているのは変わらずです。

EVでやや先行している日産は、他社が軒並み研究開発費を伸ばしている中それほど伸びていません。売上が伸び悩んでいるのでR&D比率はそれほど悪く見えませんでしたが、足元の苦戦っぷりを見るとこの景色の方が実態に近いのかもしれません。

2-6. 比較⑥:従業員1人当たり売上高/営業利益の推移

従業員1人あたりの売上高・営業利益の推移を比べてみます。高単価で攻めるSUBARU、薄利多売で利益を積み上げるスズキの特徴がはっきり表れています。

自動車1台当たりの利益額です。SUBARUは2014-2015年に急騰していますが、アイサイトのブランド化戦略の成功、円安の相乗効果、あとは軽自動車撤退による利益率の高い車種への選択と集中の結果ですね。直近はすこし落ち着いてきています。

こうして様々な角度から見ても全て高水準なのがトヨタ。トヨタ式経営の凄さがはっきりと数字で伝わってきます。

2-7. 比較⑦:自己資本利率の推移

自己資本利率の推移も載せておきます。リーマンショックでの教訓からか、2013年以降は全社的に自己資本増強の流れです。低位安定の日産自は、ゴーン騒動からの大規模減損の闇を感じさせられますね。

自動車メーカー大手7社(トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、SUBARU(富士重工)、三菱自動車、スズキ)の2004年度から2019年度までの株価推移を比較した図

2-8. 比較⑧:従業員の平均年収推移

有価証券報告書記載の平均年収推移もまとめてみました。数字の絶対値は諸事情で参考程度にとどめるとして、景気に敏感な自動車業界の特徴がよく表れています。

自動車メーカー大手7社(トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、SUBARU(富士重工)、三菱自動車、スズキ)の2004年度から2019年度までの従業員平均年収の推移較を示した図

従業員の年収は所属業界と業界内順位でほぼ決まります。年収UPを狙うなら転職という手段も効果的です。僕が転職するときには、株価以外の部分は財務体質を含めてしっかりチェックしていました。業界内での変革が見込まれる中で自動車大手各社でも中途採用が増えていますが、しっかり企業財務の分析をしておきたいところです。

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3. 自動車大手7社のCFとEPS推移

前項の各種指標分析と合わせてキャッシュフロー(営業CF、投資CF)、1株利益(EPS)、1株配当の長期推移も合わせて確認しておきます。

営業利益などのP/L(損益計算書、Profit and Loss statement)は短期的には誤魔化す余地があります。高額設備が減価償却計算になっていたり、検収月や販売台数の月ズレ等、合理的な説明が出来ればある程度調整できてしまうからです。

営業CFと投資CFのバランスの長期推移まで見て、各種指標と齟齬がなければ分析に大きな誤りがないという推定の妥当性が上がります。

3-1. IR推移①:トヨタ自動車

業界王者、トヨタの推移です。設備の減価償却だけで年間1兆6千億円(2019年度決算)規模の重い固定費を抱えながらも投資CFと営業CFが均衡しています。過去15年間の売上とともに営業CFも増加傾向にあり、会社全体としてはこの規模にしてようやく成長企業から成熟企業へのステップに入ってきたといったところでしょうか。

リーマンショックでは相当な投資圧縮をして何とかP/L均衡に近いところで出血を抑えた歴史がありますね。それでも無配転落はしておらず、株主還元もそれなりに重視していることが読み取れます。

EV向け電池についてもパナソニックとの合弁企業であるプライムプラネットエナジーソリューションを設立し、特許も多数保有しています。課題は自動運転対応でしょうか。

トヨタのネームバリューとふんだんな営業CFで開発費を捻出して鋭意開発中だと推定されます。EV・自動運転の波をどのように乗り切るのか方針が気になる所です。

3-2. IR推移②:スズキ

薄利多売ながらも東南アジアでプレゼンスを持ち、着実に利益を上げるスズキ。実はIRはピカピカです。P/Lは右肩上がりトレンドで、配当性向も低く増配余地も十分です。CFも自動車業界特有の浮き沈みはありながら、中長期的には微増トレンドを描いていて問題のない水準です。営業利益率も5%を上回っていて、トヨタとは違う路線で上手なかじ取りをしている印象です。

3-3. IR推移③:本田技研工業

研究開発費が大きく伸びていたホンダでしたが、投資CFはかなり控えめです。営業CFには力強い伸びは意外と感じられません。「無難な」経営でどこまで伸びてくるのか気になる所です。

3-4. IR推移④:日産自動車

ゴーン問題に揺れた日産自動車。リーマンショック後ゴーン問題が明るみに出るまで、1株益は右肩上がり増配を続け、P/Lはピカピカでした。

しかしCFを見ると投資CF過剰気味で、研究開発費の伸びが穏やかなことと合わせると既存製品の設備投資が旺盛であった可能性が高かったと読み取れます。実際に2019年度決算では大幅な減損となりました。日本でも心なしか日産車をあまり見なくなった気がしますし、他社と比較して開発が先行しているEVでどこまで時間稼ぎができるかが今後の明暗を分けそうです。

3-5. IR推移⑤:SUBARU

2000年代後半に小型車の廃止による選択と集中、アイサイトのブランド化で高収益体質に転換を遂げたSUBARU。成長スピードが速すぎた歪が、完成検査の偽装問題という形で表れてきたのかもしれません。

電動化の逆風も受け、直近は苦しい展開です。強みの北米でキャッシュを稼ぎながら、大株主になったトヨタとうまく棲み分けして電動時代のニッチ市場を開拓する道を歩みそうです。

3-6. IR推移⑥:マツダ

燃焼技術に強みを持つマツダ。Skyactiv技術で「マツダ地獄」からの脱却には成功しましたが、勢いの持続性がやや心もとない状況です。

運転していて楽しい車なのに、EV・自動運転の時代に入りつつあることも逆風ですね。戦略的に出遅れたEV・自動運転とどう棲み分けしていくのかはSUBARUとも共通の課題なのかもしれません。

3-7. IR推移⑦:三菱自動車

2000年代前半の2度にわたるリコールで潰れかけた黒歴史を持つ三菱自動車。15年間にわたる三菱商事出身の益子社長の旗振りもむなしく、出血が止まる気配はありません。

尖った車は廃止し、頼みの綱は東南アジア市場。日本人としては寂しいですが国内では価格競争力も乏しいですし、チキンレースと化す日本市場からの撤退も視野に入れた方がいいのかもしれません。

4. 自動車業界に投資するならトヨタかスズキ

自動車業界のIR長期推移を徹底比較してみました。投資するなら業界の雄トヨタ、新興国で着実に賢く稼ぐスズキが良いでしょう。

転職を検討されている方は、やはりトヨタ一択だと思います。ただしVUCAの時代なので、働く上でも高給マッタリな業界ではなくなってきているので相応の覚悟は必要そうです。

総合商社と同じく景気敏感株である総合化学。国内大手なら東ソーか信越化学でしょう。景気の波を受けやすく上級者向けで難しい銘柄群ですね。

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  • この記事を書いた人

素材さん

東大卒を活かせてない経歴の社畜。工場勤務のヒントを綴ります。転職、結婚、資産形成、資格取得、仕事感。共通点ある方のヒントになれば幸いです。 転職1回目で僻地突入、転職2回目で僻地脱出。/30代前半/東大卒(学部・院)→中小→大手JTC→超大手JTC/素材開発エンジニア/既婚/3人兄弟の真ん中

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