寒くなってきたときにお手軽に暖をとれるのが遠赤外線ヒーター。近くは暖かいのにすこし離れると寒いですよね。どうしてなのでしょうか。
遠赤外線ヒーターがなぜ暖かいのか理由を考えるとこの答にたどり着けます。一緒に考えてみましょう。
早く結論が知りたいという人はこちら(ページ内リンクです)。
1. 遠赤外線とは
そもそも遠赤外線とは何者なのでしょうか。馴染みがない人は分かりにくいと思うので最初に説明します。
人間の目はいろんな色が見えていると思いますが、物質が散乱させている波長のうち、特定の光(0.3~0.75ミクロンメートル波長)を感知して色に見えています。
紫色は短い波、赤色は長い波です。赤色は0.625~0.75ミクロンメートルの波長をもった波で、これよりも波長の長い0.75~15ミクロンメートルの波長をもったものを赤外線と言います。この中でも特に6~15ミクロンメートルの波長を、赤色の波(0.75μm)よりも遠い赤外線ということで、「遠赤外線」と呼んでいます。
カーボンヒーター、シーズヒーター、ハロゲンヒーターなどが知られていますが、このタイプは全て電気を流して遠赤外線を発生させて温めるというものになります。
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2. 遠赤外線は近くの物を温める
遠赤外線は輻射熱(熱放射)で人間の体を温めます。遠赤外線ヒーターの近くだと暖かくなりますが、少し遠ざかると急に寒くなりますよね。たとえばヒーターから50cmと1mを比べると、1mの時は50cmのときのおおよそ3割程度になってしまうのです。
実は遠赤外線がモノに当たった時にどの程度温まるかは、熱源の放射強度(単位面積あたりのパワー)と熱源からの距離に依存します。もっと詳しく言うと、距離の2乗に反比例します。通称「逆2乗の法則」で、万有引力や光の減衰など様々なところで確認されていますね。
この法則は距離が十分に大きいこと、真空中であることが前提なので厳密には距離が近くなると関係は若干変わってくるのですが、大枠は外れないのでご容赦ください。
3. 遠赤外線とそれ以外の暖房の比較
3-1. エアコンは部屋を暖めて体からの熱放射を減らす
部屋全体の暖房と言えばエアコンや石油ファンヒーターですね。熱風で室温を上げて、自分の体からの熱放射を減らして暖を取る方法です。部屋全体を温めることで自分の体から熱が奪われにくくなるので暖かく感じるようになります。
部屋全体を温める必要があるので少々時間はかかりますが、部屋全体が温まればどこでも暖かいのが特徴です。
3-2. 遠赤外線は体を熱放射で温める
遠赤外線ヒーターはこれとは逆で、外部からのエネルギーで体を直接温めます。ところが熱輻射では、熱源から放出された電磁波がモノに当たった時に、電磁波のエネルギーが熱エネルギーに変えられてモノが温まることので、モノに当たらないと温まりません。また熱源からの距離が遠くなってしまうとエネルギーが急減してしまいます。遠赤外線ヒーターが近くでは熱いのに少し離れると寒く感じるのはこのためです。
つまり遠赤外線は人が近くにいることで温まるわけで、部屋を暖める効果は小さいです。部屋全体を温める時間がなかったり1人だけあったまりたいときにお手軽に暖をとれるのが赤外線ヒーターなのです。
3-3. 水分をたくさん含む人間の体は遠赤外線で温まりやすい
人間は水分をたくさん含んでいるので遠赤外線をよく吸収し、結果として体が温まります。しかし空気や壁などは温まりにくいので、部屋全体を暖めるには遠赤外線は得意ではありません。
4.【まとめ】遠赤外線が温かい理由は、電磁波で体が暖められるから
遠赤外線ヒーターが温かいのは、水分をたっぷり含む人間の体に遠赤外線が吸収されやすく、吸収されるときに発熱するからです。つまり人間の体をピンポイントで温めるのに適しています。
しかし部屋を暖めるためには、市販の遠赤外線ヒーターでは能力が足りないことが多いです。もっとたくさんの電力を消費する強力な遠赤外線ヒーターなら温まるかもしれませんが、同じ電力でエアコンを使った方が効率がいいです。
遠赤外線ヒーターで部屋を暖めようと予熱しても、電気代が嵩むばかりで意外と効果はありません。僕の説明が下手なのでしょうが、我が家ではいまだに妻には分かってもらえず遠赤外線ヒーターを無人で数十分動かして電力をロスしています。。。もっとわかりやすくて説得力のある説明ができればいいのですが。
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