公害防止管理者試験で頻出のコゼニーカルマンの式。「頻出なので式を覚えておくこと」と参考書に書いてあったりしますが、導出仮定が比較的難解です。本記事ではコゼニーカルマンの式と導出仮定における考え方について少しだけ触れます。
1. コゼニーカルマンの式とは
コゼニーカルマン(Kozeny-Carman)の式は、もともとは固形粒子充填層を流れる圧力損失の計算に用いられる式です。公害防止管理者試験でも頻出の式で、式を覚えていれば確実に正答できる問題が出題されます。直近3年間で直接的な出題はありませんが、H29問8、H28問9で出題されています。
単一粒径のみから構成されるダストを対象としているため、粒径分布をもった現実のダストにはそのまま適用できません。また層流を前提としている為、実務では多かれ少なかれ乱流が生じるので実験的な補正が必要でしょう。
2. コゼニーカルマンの式を分解する
2-0. 圧力は単位面積あたりの力
圧力は単位面積当たりの力です。
単位で表現すると ”圧力 [Pa] = 力[N] / 面積 [m2]” ですね。
単純なようですが、構成はこのようになっています。
2-1. ダストの比表面積径の2乗に反比例
コゼニーカルマンの式では、圧力損失は面積に反比例することは2-0で述べたとおりです。つまりダストの比表面積径の2乗に反比例します。
ここから先の導出仮定はfanningの式、円筒層流の考え方(下図)と摩擦係数から導出できますが、導出がかなり煩雑なので割愛させてください。
どの参考書も唐突に公式が書いてありますが、導出が煩雑なのと、前提とする公式が難解ということが理由のようですね。導出が気になる方はこちらの書籍を一読頂ければ詳細記載されていますが、馴染みのない人は理解するだけで結構大変だと思われます。
試験だけを考えるとコゼニーカルマン式は丸暗記で乗り切るのが最適解なのかもしれません。僕も試験受験時は丸暗記で乗り切りました。出題されませんでしたが。
3. 【公害防止大気共通】コゼニーカルマンの式に関する出題
3-1. 【例題①】コゼニーカルマンの式を問う問題例
答えは(2)ですね。それぞれの単位の意味を理解しておけば、分母は(dps)^2となることはわかります。もし記憶していなくても、(1)~(3)まではたどり着きたいところです。正直に言って、式を確実に暗記するのはちょっと厳しい気もしますが、見て思い出せる程度には記憶しておきたいですね。
3-2. 【例題②】コゼニーカルマンの式の理解度を問う問題例
この問題では式が与えらているので、各記号の意味が分かっていれば容易に正解にたどり着けます。正答は(4)です。式を覚えるのは大切ですが、式を構成する文字の意味はしっかり理解しておきたいところです。
4. コゼニーカルマンの式はダスト積層による圧力損失のモデル
コゼニーカルマンの式は集塵機のダスト積層による圧力損失を単純化して考えたモデルです。
公害防止大気で頻出の式ですが、式が複雑なのと導出仮定が難解で僕は捨ててしまいました。専門ではないものの化学工学は一通り履修していたのですが、膨大な試験範囲の中手を付けられるほど理解を追いつかせることを諦めました。知らない問題もたくさん出題される公害防止管理者試験なので、不安のある方は丸暗記で臨むのも手かもしれません。
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