公害防止管理者試験で頻出の遠心力集塵機の遠心効果計算。式を覚えておけばとりあえず試験は正答できるのですが、技術者として原理原則を押さえておきたいのに意外と説明が少ないですよね。物理が苦手で苦戦した筆者が、遠心効果の計算式とその導出について解説します。
1. 遠心効果とは
遠心効果とは、遠心加速度と重力加速度の比で表される指標を言います。
はい、頭の悪い僕はよくわかりません。物理に詳しい方はこの式だけをみて分かるのでしょうが、僕は高校物理赤点で卒業したレベル。当然意味不明です。
しかし公害防止管理者試験でも頻出分野で、直近ではR2問3、H29問3で出題されています。頻度こそ3年に1回ですが、式自体が簡単なのと物理法則の基本式なので概念理解さえできてしまえば確実に正答できます。
遠心沈降速度も頻出ですね。
2. 遠心効果の式の導出
では遠心効果は重力と遠心力がわかれば導出できることになりますね。というわけで2つに分けて考えてみます。
2-1. 重力と重力加速度の関係
高校物理でもお馴染みのF=ma (a:加速度[m/s2])aが重力加速度のパターンですね。
理系の人ならここは問題ないと信じています。物理音痴の僕もここは大丈夫でした。
2-2. 遠心力と角速度の関係
次は遠心力です。普通に物理真面目にやってた人なら常識だと思います。僕はセンスがなく全然常識じゃないですが。ここがすんなり理解できれば遠心効果は一瞬で理解できます。
2-3. 角加速度の導出から遠心力と等速直線運動速度の関係を導く
遠心加速度の式でしっくりこない人は導出を確認します。角速度ωの単位は[rad/s]ですね。ラジアンは角度の単位で、円1周に相当する2πが1ラジアン[rad]に相当します。つまり円1周である2πをT[s]で移動する速度が角速度の定義なので、式が成り立ちます。
またこの円周運動をミクロに見た場合、v[m/s]で等速直線運動しています。これを時間で積分すれば円周になります。
言い換えると、v[m/s]の速度で半径Rの円周を1週するためにはT[s]を要すると言えます。これを式で表すと次式です。
この2式から、v = Rω が成り立ちます。これが等速直線運動の速度v[m/s]と角速度ω[rad/s]の関係式です。これを2-2で登場した式に代入すると遠心力は回転半径と等速直線運動の速度v[m/s]で表現できます。
2-4. 遠心効果は遠心力を重力で割る
遠心効果Zは重力Fgと遠心力Fcで定義される指標なので、2-1と2-3の式から導出できます。
比較的単純に導出できるので、しっかり理解しておきたいですね。特に物理が苦手だった人は思わぬところで役に立つかもしれません。
3. 【公害防止大気共通】遠心効果の計算問題
3-1. 【例題①】円周方向粒子速度を求める計算問題例
1の式に代入するだけですね。答えは③です。
3-2. 【例題②】遠心効果を求める計算問題例
これも1の式に代入するだけですね。答えは⑤です。サービス問題なので、式は確実に覚えておきましょう。
4.【公害防止大気頻出】遠心効果は重力と遠心力の比
遠心効果Zは遠心力Fcを重力Fgで割った値を言います。重力は遠心加速度と重力で定義され、遠心力は角速度と質量で定義されます。角速度は円運動をミクロにとらえた等速直線速度の式から導出できます。
遠心効果の計算式は公害防止大気・粉じんばいじん特論で頻出の式です。知らない問題もたくさん出題される公害防止管理者試験では、頻出問題を確実に解くためにも確実に正答しておきたいですね。
偉そうに解説してますが、公害防止管理者大気1種は2回落ちてます。ばいじん・粉じん特論は1発で科目合格しましたが、こうして記事にまとめると改めていい勉強になりますね。3回目は受かりたいなぁ。
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