公害防止管理者試験で頻出のピトー管の式。式を覚えておけばとりあえず試験は正答できるのですが、技術者として原理原則を押さえておきたいにに意外と説明が少ないですよね。本記事では、ピトー管の計算式について周辺知識を解説します。
1. ピトー管とは
ピトー管とは、機械的に流速を測定する方法に使用される機器のことです。飛行機の移動速度測定に使われていることで有名ですが、技術者にとって身近なところでは風速計に使われていたりします。ドラフトなどの局所排気装置点検などで使ったことがある人もいらっしゃるかもしれませんね。
ピトー管でせき止められた箇所の圧力(総圧といいます、PTと表記)、測定したい箇所の圧力(静圧といいます、pと表記)の差からせき止められた箇所の風速が求められます。もちろん空気以外の流体全般に適用可能であり、信頼性が高い測定方法であることから産業界では広く使われています。流体の流れる方向と完全に平行に設置することが重要です。
公害防止管理者試験でも頻出分野で、式を覚えていれば確実に正答できる問題で使います。直近ではR2問5、R1問3、H30問15、H28問15、H27問15で出題されています。
2. ピトー管の流速、圧力、流体密度の関係式
ではピトー管を使った流速を求める式は、動圧(総圧PTから静圧pを引いたもの)と流体密度、ピトー管係数を使って次式で表されます。
2-1. ピトー管の計算式は覚えるだけでもOK
図を見ればお気づきになるかもしれませんが、マノメータと同じ原理ですね。ベルヌーイの式、マノメータの液面差を考慮すると下記の式が成り立ち、これを変形すれば式①が導けます。
僕はエネ管受験の時に流体力学をかなり勉強したので導出まで何とかたどり着けましたが、流体力学が苦手な方は式①を覚えておくだけでも公害防止管理者試験は十分乗り切れるでしょう。
2-2. ピトー管係数とは、単なる補正係数
ピトー管係数は、ピトー管の構造や寸法によってそれ自体が流速に与える影響を考慮した係数です。まったく影響しない理想状態だとC=1.000となります。一般に流速が早くなるほどこの値は小さくなり、市販のピトー管には流速ごとにピトー管係数が計測され、検査書に記載されています。
2-3. 温度、圧力の計算は状態方程式から導出しよう
次にガスの温度、静圧、大気圧の変換式をおさらいします。問題集とかに書いてあるこれですね。覚えてもいいのですが、わずらわしいですよね。
高校化学でお馴染みの理想気体の状態方程式 pV=nRT(V:気体の体積、n:モル数、R:気体定数) から導出される PM=ρRT(M:分子量、ρ:密度)だけ覚えておけばOKです。ここから式②が導けます。
粉じん・ばいじん特論は15問で50分ですが、ほとんどは暗記問題なので十分な試験時間があります。余計な記憶はせず、最小限の労力で乗り切ることをお勧めします。
3. 【公害防止大気共通】ピトー管の計算問題
3-1. 【例題①】ピトー管の動圧を求める計算問題例
式①、②に代入するだけですね。答えは③です。
式は与えられませんが2年に1回は出題されていて、単純な式を覚えるだけで正答できます。確実に回答したいところです。
3-2. 【例題②】ピトー管の測定結果からガス温度を求める計算問題例
これも式①、②に代入するだけですね。答えは②です。サービス問題なので、式は確実に覚えておきましょう。
4.【公害防止大気頻出】ピトー管計算式は差圧から流速を求める式
ピトー管の計算式は公害防止大気・粉じんばいじん特論で頻出の式です。知らない問題もたくさん出題される公害防止管理者試験では、頻出問題を確実に解くためにも確実に正答しておきたいところ。
- ピトー管でせき止められた箇所の圧力(PT)、測定したい箇所の圧力(静圧p)の差からせき止められた箇所の風速を求める方法。
2. 温度、圧力の変換は理想気体の状態方程式を思い出して計算しよう。
3. 式は確実に覚える
ただ公式を丸覚えは辛いので、内容をしっかり理解して式を覚えておくといいですね。
偉そうに解説してますが、公害防止管理者大気1種は2回落ちてます。ばいじん・粉じん特論は1発で科目合格しましたが、こうして記事にまとめると改めていい勉強になりますね。3回目は受かりたいなぁ。
-
【2回不合格】公害防止管理者大気1種受験記
公害防止管理者といえば、製造業系の資格でもエネルギー管理士と並んで難関と言われます。筆者は公害防止管理者大気一種を2019年から3回受験してやっと合格までたどり着きました。 「面倒かつ難易度高めの試験 ...
続きを見る