公害防止管理者試験で頻出のドイチェの式。式を覚えておけばとりあえず試験は正答できるのですが、技術者として原理原則を押さえておきたいにに意外と説明が少ないですよね。本記事では、ドイチェの式について周辺知識を解説します。
1. ドイチェの式とは
ドイチェ(Deutsch)の式は、集塵率η(エータ)を粒子の分離速度w [m/s]、有効全集じん面積 A[m2]、処理ガス流量Q[m3/s]で表した式を言います。
公害防止管理者試験でも頻出の式で、式を覚えていれば確実に正答できる問題で使います。直近ではR2問5、R1問3、H29問6、H28問6で出題されています。
単一粒径のダストを対象としている点には注意です。実際にはダストは粒径分布をもっているため、分離速度(=見かけ粒子移動速度)w [m\s]は粒子ごとに異なります。実務で適用する場合には実験的な補正が必要な場合も多いです。
2. 集塵機の乱流で変わる集塵率
ではドイチェの式を使って理論的な集塵率を見てみます。単純な流通形式の集塵装置における集塵率を見てみましょう。集塵機内は大きく分けて、①完全な層流のみから構成される状態、②層流と乱流が入り乱れている状態、③完全な乱流3つの状態、に分けられます。
①の完全な層流の場合は集塵率は粒子の分離速度w [m/s]と有効全集じん面積 A[m2]の積を処理ガス流量Q[m3/s]で除したものになりますね。
③の完全な乱流の場合、集塵機内のばいじん濃度が均一になる仮定します。まったくばいじんの捕集効果が発現していない状態ですね。この状態を初期状態として集塵させた場合の集塵率を考えます。集塵機出口付近は全く捕集されていない状態で集塵機から排出されますが、入口付近のばいじんは出口までに一定の捕集がされると考えます。これが 1/(1+Q/wA) ですね。ラングミュアー(Langmuir)の吸着等温式と似た式ですね。
②は①と③の中間状態を指します。①層流のみ、③乱流で集塵機内のばいじん濃度が均一、の2つの条件はいずれも仮想の両極端な状態で、実際の集塵機内のばいじん濃度はこの間に入ることになります。このうち、流れ断面方向のダスト濃度が均一な状態の理論式がドイチェの式ということになります。
3. 【公害防止大気共通】ドイチェの式に関する出題
3-1. 【例題①】ドイチェの式の単純な計算問題例
処理ガス量Q,、有効全集じん率Aのときの集塵率がη1=0.95のとき、処理ガス量0.5Q、有効全集人面積1.5Aのときの集塵率η2を求めればよいですね。答えは⑤です。
式は与えられませんが出題頻度は高く比較的簡単に覚えられる単純な式なので、確実に回答したいところです。
3-2. 【例題②】ドイチェの式の理解度を問う問題例
こちらは2項で説明した原理原則をしっかり理解できていれば即答ですね。正答は(ア)-C、(イ)-B、(ウ)-Aです。式を覚えるのは大切ですが、式を考える根拠もしっかり理解しておきたいところです。意外と丁寧な説明ってみかけないんですけどね。
4.【公害防止大気頻出】ドイチェの式は現実的な集塵率を求める式
ドイチェの式は公害防止大気で頻出の式です。知らない問題もたくさん出題される公害防止管理者試験では、頻出問題を確実に解くためにも確実に正答しておきたいところ。
- 層流と乱流が入り乱れている状態
2. 流れ断面方向のダスト濃度が均一な状態の理論式
3. 式は確実に覚える
ただ公式を丸覚えは辛いので、内容をしっかり理解して式を覚えておくといいですね。
偉そうに解説してますが、公害防止管理者大気1種は2回落ちてます。ばいじん・粉じん特論は1発で科目合格しましたが、こうして記事にまとめると改めていい勉強になりますね。3回目は受かりたいなぁ。
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