携帯電話事業参入のニュースを受け、 楽天(4755)株を売却しました。楽天の携帯電話事業、その他の事業性を株主目線で確認してみます
■目次
▶携帯電話事業に参入表明の楽天が大暴落
▶キャッシュフローから財務状態を分析
▶公募増資の過去からみる資金調達先の行方
▶肝心の営業利益から見る追加公募増資リスク
▶楽天とは株主ではなく利用者として関わろう
■携帯電話事業に参入表明の楽天が大暴落
楽天カードでお馴染みの楽天ですが、12月14日に6000億円投資を伴う携帯電話事業への参入を発表。携帯電話事業の低価格化競争激化が予想され、NTTドコモ、KDDI等の国内通信株は軒並み売られました。さらに財務悪化が懸念された楽天も大暴落しました。
2015年8月の増資後暴落時に楽天株を購入していましたが、その後の株価低迷の中で塩漬けにしていました。この度の投資を受けて株主としてはこれ以上楽天への投資継続NGの判断を下し、今年計画していた株式売却をこのタイミングで断行。購入単価は1699円、売却単価は1027円、手数料考慮した投資損益は▲67,599円でした。2年間17万円の資金を拘束され投資利回りは▲40%と惨憺たる結果。。。薄々は感じていましたが、大失敗の投資になってしまいました。高い授業料を払って、過去の負の遺産を整理したという感じでしょうか。
■キャッシュフローから財務状態を分析
勉強のため財務分析を行ってみました。キャッシュフローを確認したところ、2014-15年と営業CFが数百億~1000億あるにもかかわらず、2015年の増資の影響等もあって2年連続で財務CFはプラス2000億円となっています。ここで確保した調達資金4000億円と営業利益をほぼ全て投資したにもかかわらず、営業利益は一向に向上する気配がありません。さらにここから携帯電話事業に6000億円を投資するというのですから、正気の沙汰とは思えません。
さらに3社寡占状態の携帯電話事業への新規参入により価格競争が激化し、通信事業そのものがレッドオーシャン化することが容易に予想できます。すでにMVNOの登場によりブルーオーシャンの事業環境は崩れつつありましたが、これが完全に崩壊への道を歩むことになりそうです。
目標加入者数は1500万人とのことなので、単純計算で加入者一人当たりから4万円を回収しなければなりません。目標加入者数を達成できたとしても、事業維持費を除いて1人あたり4万円の事業利益が必要な計算になるのでかなり高いハードルです。これで投資回収の見込みがあるとは到底思えません。
■公募増資の過去からみる資金調達先の行方
さらに楽天には公募増資の過去があります。14日の報道では6000億円は借入による調達を行うとしておりましたが、2015年の高値付近で公募増資を行っており、株価低迷が続く2017年に自社株買いを行っています。営業利益が伴っていないにもかかわらず、かつ携帯電話事業参入による投資が見込まれている状況で、高値での公募増資分を平気で減資するような動きは株主としては不信しか感じません。
■肝心の営業利益から見る追加公募増資リスク
このような状況でも巨額投資に見合う営業利益が見えていれば、投資価値はあるかとも思いますが、売上高(売上収益)の向上にもかかわらず営業利益は低下の一途を辿っています。これで携帯電話事業への新規投資効果が見込めるとは到底感じられません。それどころか財務状況を考えれば、新規投資を大義名分にした巨額増資の影すら感じます。
一部報道では短期ではマイナス、20-30年単位ではプラスではないかと言われています。これはある意味ではもっともなわけですが、リスク対期待リターンを考えれば他にもっとマシな投資対象はたくさんあるでしょう。投資家としては楽天からの資金引き揚げが最適解と言えるのではないでしょうか。
■楽天とは株主ではなく利用者として関わろう
投資家として楽天を酷評してきましたが、楽天利用者としては大歓迎の経営判断と言えます。楽天経済圏をさらに拡大するためにポイントキャンペーンを強化するとともに、通信業界の競争を煽り低料金化が進む可能性が高いからです。現に私は楽天ヘビーユーザーで、楽天ポイントの年間獲得数は4万~6万ポイントです。利用者として更なる受益環境が整うことが予想されるため、ポイントの楽天集約は今後も継続したいです。
楽天は利用者/エンド顧客重視、株主軽視のスタンスが明確に表れている企業であることがはっきりとわかりました。これからは株主としての期待はやめ、一顧客として恩恵に与ることにします。
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