味の素(2802)より最後の配当金入金がありました。売却済み銘柄ですが、売却の妥当性の確認も合わせて行いました。
■配当利回りとトータル損益は?
100株保有でしたので、税引き前で1500円、税引き後1196円です。6月にも同額の配当を受領していて、投資額約22万円に対して1年で2388円、税引き後配当利回りは1.1%です。
2017年8月に100株購入(@2261)し、2017年10月に売却(@2296)しています。手数料を考慮した売却益は3023円でした。
この期間は日経平均が10%以上上昇していた期間で、大幅にアンダーパフォームしています。2017年夏の購入当初は特に深く考えずに株式を購入していたので、やはり資金効率の悪さが目立ちます。
典型的な「適当買い→株価低迷で塩漬け→低配当で継続保有モチベーション低い→購入株価を上回ったのでやれやれ売却」の悪循環ですね。
■事業構成と株主還元性向
味の素自体は事業ポートフォリオの大半が食品ながらも国内と海外に事業が分散されていて、優良企業です。欲を言えばアミノ酸関連事業や、フィルム関連の利益がもう少しあると良いですが、2016年から2018年の3年間では、M&A等の効果も発現しておらず事業構造はほとんど変わっていません。
配当性向は30%ながらも、自社株買いで総還元指向は65%程度と株主還元に積極的です。日本企業は配当性向30%程度に自社株買いなしという株主軽視の風潮が強い中では、まずまず健闘していると言えそうです。
■ディフェンシブだが株価リスクは要チェック
ここ数年はM&Aで投資キャッシュアウトが続いていて、自己資本比率がじわじわ低下しています。2013年度で60%近くあった自己資本比率は2018年度には45%まで低下。
IFRS導入で定期償却がなくなったのれんも毎年100億円程度増えていて、2018年度は1090億円と着実に積み上がっています。営業利益は833億円なので1年分強くらいの減損リスクをとった経営をしていることになります。日本のIFRS導入企業ののれん残高ランキング(エコノミストOnline)でも上位30位に顔を出しています。
足元の株価は1800円から2000円と低迷しています。3年チャートを見ても下落トレンドが続いていることがわかります。それにも関わらずPER21倍と割高で配当利回りも低く、相対的に長期保有対象としては難しいと判断し売却してしまいました。
2018年8月時点の株価は1884円、2017年10月売却時から20%程度下がっていて、結果的に妥当な判断となりました。株価分析を行うようになってから打率が上がっているような気がします。
2018年8月現在はPER17倍と妥当な水準になっていること、発行済株式4%相当の400億円を上限とした自社株買いが予定されていることは投資家にとってはプラスですね。それでもやや割高な気はしますが、2018年10月と12月の急落の影響も小さく良くも悪くもディフェンシブな動きから、投資を検討してもよい水準だと考えます。
■投資検討をしても良い水準だが、継続保有する自信なし
バフェット氏流の長期投資方針として「優良企業を安全余裕度をもった価格で買うこと」という言葉が知られています。これに従えば、日本企業の中では優良企業として申し分ないと考えます。日本の食品関連事業会社の中では利益率8%台と高利益水準であることは事実ですからね。
ただし米国企業の利益率と比較するとやはり見劣りします。ディフェンシブ銘柄なのに低配当で、株価も割高な水準に見えます。僕は長期保有を継続する自信が持てませんでした。この水準の株価を割高と判断するかどうかは各投資家の判断次第とは思います。
しかし参入障壁の低い食品分野で、かつ新興国にも進出している味の素が、今以上の急成長を遂げるイメージができません。割高な株価水準に見合うリターンが確信できませんでした。長期保有を継続できる自信を持てるかは、投資を続けるうえで最重要ポイントだと考えます。
2018年12月現在の保有銘柄と配当金入金履歴です。現在日米株式に16銘柄に投資していますが、味の素株は保有していません。