衆院選は自民党の圧勝でした。
この圧勝に関連し若者世代で自民党支持が増えていると騒がれました(『自民支持が増えた若者は本当に「右傾化」しているのか』,ダイヤモンドオンライン)が、その理由を政策面で考えてみます。
各党の主要政策に対する僕の個人的立場は次の通りです。
2. 原発政策:どちらかと言えば推進
3. 憲法9条改正:どちらでもない
4. 安全保障関連法:賛成
■自民党の主要政策1:消費税増税
消費税増税は賛成一択です。早く増税すべき。増税を先送りにして一番困るのは現役世代です。年金・保険料の負担増により最近15年で可処分所得は10%も下がりました(ふるさと納税でオトクに節約ー利用者はたった25人に1人?ー)し、これ以上現役世代だけの可処分所得を減らされたらたまりません。世代間で「平等に」費用負担する消費増税で社会保障費増を早急に補うべきです。
特に20代は消費税増税先送りによる影響を大きく受けるので、賛成が多くなると考えます。
■自民党の主要政策2:原発政策
原発については、既存原発の再稼働も認めない(反対)、既存原発は運用し新設は認めない(消極的賛成)、新設をしてどんどん原発を作る(積極的賛成)のいずれかに分けられると考えます。各立場での安全リスクと追加コストを天秤にかけるということが、この争点の判断になるでしょう。
安全リスクは原発があるだけでも存在し、原発廃止によって安全リスクがなくなるわけではありません。コスト面では新設費用と廃炉費用が最もコストがかかるので、今さら安全リスクの高い原発を新設することは容認できないと考えます。
ただ再稼働を認めないとなると、稼働期間の短い原発に対しても莫大な廃炉費用を負担しなければなりません。であれば微々たる安全リスク低減のために直ちに廃炉手続きを進めるよりは、廃炉までにできるだけ原発に発電させた方が得策だと思います。
可処分所得が減る一方の中で、ゼロにならない安全リスクのためにどれだけの費用を負担できるというのでしょうか。安全はタダでは買えず、結局僕たち国民が負担することになるんです。たとえば税金が倍になっても原発反対の立場が継続できるか、冷静になって考えると消極的賛成という立場に落ち着きました。
可処分所得が下がっている現役世代では、消極的賛成が妥当解ではないかと考えます。
■自民党の主要政策3:憲法9条改正
そもそも憲法9条をわざわざ改正する必要性は感じません。日本人が大好きな「ホンネとタテマエ」で済ませていいのではないでしょうか。第2項に定められている「戦力を持たない」というのも事実上ウソですが、自衛隊は軍隊でないという屁理屈をつけて国民の大半が納得しているわけで。
【日本国憲法 第9条】第1項:日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。第2項:前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
一方で戦後70年も改正されていない日本国憲法を現実に即して改正することに反対する理由はありません。第2項については現状に合わせて改正してもいいと考えます。
第1項で変な修正が加わるのはいかがなものかと思いますが、憲法96条で定められているように衆院・参院の3分の2以上の賛成だけではなく、最終的に国民投票で過半数が必要です。最終的には我々日本国民のジャッジがあるので今審判を下す必要性を感じず、この争点は個人的に興味がありません。
この争点は世代間でそれほど差があるとは思えませんので、本記事では中立とします。
■自民党の主要政策4:安全保障関連法
こちらは賛成です。米国に守られるという幻想は早く捨てるべきです。北朝鮮から攻められて真っ先に被害を蒙るのは米国ではなくて日本。米国としては国を挙げて本気で日本は守ろうとはしないでしょう。9条改正の問題とは切り離して考え、さっさと法体制を進めるべきです。
ただ世論ベースでは日米安保条約で米国に守られると思っている人がまだまだ多数派でしょうし、若者世代としても反対なんでしょうね。
■若者の自民党支持は必然
まとめると上記争点について、若者世代の政策毎の推定立場(緑色)、僕の立場(赤色)を示しました。これに加えてアベノミクスによって就職で有利に働いていて、結局は自民党が妥当解になるのではないかと考えます。
若者世代で自民党支持が多いのは保守的な人が増えたわけでは決してなく、妥当解を冷静に選択すると自民党が消去法的に残るからではないでしょうか。 僕たちの可処分所得が減るのは時代の流れとしても、安倍政権にはシルバー民主主義に流されることなく世代間で公平に費用負担できるような政策を進めて頂きたいものです。