決算発表で高配当米国株の相場変動が激しいですね。「損切り」という名の狼狽売り、ナンピン買い等動き方も様々な様子。
そんな中でも安心して保有できるジョンソン&ジョンソンについて、日本株で有望銘柄であるアステラス製薬と比較検討してみます。
■JNJ追加投資とアステラス製薬売却
決算発表の波乱が来る前の4/3、JNJ株を20株(@127.82ドル)買い増ししています。3/30の米国市場休場で取引できなかった3月購入分としての追加投資です。17年9月に19株(@131.43)購入していますので、平均取得単価を2ドル程度下げることができました。
また日本株整理を目的として、4/9にアステラス製薬を100株(@1614.5円)売却しました。2016年12月に1533円で購入していますので、キャピタルゲインとして8037円、配当3期分のインカムゲインとして約4200円です。1年半で約8%の利回りとなりました。
アステラス製薬は良好な業績の割にはなかなか日の目を浴びてきませんでした。しかし銘柄分析が十分でない銘柄としては、結果的に及第点を得られる利回りとなりました。好調な業績の割に株価が低迷している印象を受けたため、念のため米国株のJNJとの比較を目的とした銘柄分析を行います。
EPS、1株配当と利益推移比較
まず1株配当と利益の推移を確認します。JNJ、アステラス製薬とも過去10年間は右肩上がりの増配実績があります。リーマンショックでも減配しない「強い」銘柄であることがわかります。EPS(1株あたり利益)については、トランプ政策影響を受けた2017年を除いてJNJは漸増に対し、アステラス製薬は2011年を底にして急増しています。
過去5年だけをみるとアステラス製薬が急成長しているように見えるのに対し、JNJの増加曲線は穏やかながらも安定的に利益を創出し続けています。日本株としてはタコ足配当を続ける武田製薬と比較して優良経営をしているアステラス製薬ですが、JNJと比較すると今一つ物足りない印象を受けます。
キャッシュフローと営業利益率比較
次にキャッシュフロー(CF)と営業利益率を確認します。両銘柄ともM&Aに積極的なため投資CFの浮き沈みは大きくなっていて、それに伴うフリーCFの増減が激しくなっています。製薬企業らしくJNJ、アステラスとも20%台の高い営業利益率が特徴ですね。
ディフェンシブ銘柄という事もあり、リーマンショックの影響はほとんど受けていません。ただ2011年の苦境を経験しているアステラスに対し、JNJはトランプ政策影響を除くと継続的に20%台の営業利益率を誇っています。JNJがこの業界の王者ぶりであることを感じさせられます。
営業CFに着目すると、過去10年にわたって漸増しているJNJに対し、アステラスは直近7年は右肩上がりの成長ぶりを見せているものの安定性には欠けています。アステラス製薬は日本株としては珍しい優良企業であるものの、JNJと比較するとリスクの高い経営に見えます。
配当性向と自社株買い
最後に配当性向、配当と自社株買いを合わせた総還元性向を確認します。日本株としては珍しく配当にも自社株買いにも積極的で、総還元性向はほぼ100%と創出利益のほぼ全額を投資家に還元しています。その割に株価は低迷を続けていて、業績とは関係なく株価が上下する日本株らしい動きをしています。一方でJNJは総還元性向は75%となっていて、高い還元性向を誇りつつも還元余地が残っています。
JNJは自己資本比率が下がっているのは気になる所です。CFは問題ないので資金繰りが苦しくなってくると自社株買い停止くらいはあるかもしれません。連続増配は57年にも及ぶのでさすがに減配まではしないでしょう。
JNJは安定のヘルスケア株
日本株としてアステラス製薬はそれなりに優良銘柄です。JNJと比較すると若干安定性に欠け、着実な運用を目指す場合はJNJの方が優れていると判断しました。またアステラス製薬はこれだけ株主還元しており業績良好であるにもかかわらず株価は冴えません。業績と関係なく市場が左右される日本株の特徴が表れています。
僕は比較的リスクの高い資本材セクターやエネルギー株も保有しているので、ヘルスケアセクターでは着実な資産運用を目指したいところです。外部要因の株価変動影響が強いアステラス製薬を売却し、JNJ追加投資したのはそれなりに筋の通った考え方であることがわかりました。
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