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企業分析 株式投資

日産株追加購入と自動車業界分析

2017-10-07

無資格者による検査でリコール騒ぎとなった日産自動車株(東証, 7201)を買い増しした黒歴史を綴ります。製造業に携わる技術者として、また一個人投資家としての観点で今回の投資判断に至った経緯を書きます。

1. 無資格検査の報道と実態

騒ぎとなったのは2017年9月29日。国交省の抜き打ち検査で発覚したとのこと。このニュース報道を聞いて、日産株を買い増しするチャンス到来を感じました。

無資格検査と世間で騒がれることは咄嗟に予感しました。でも製造業に携わる僕としては製造業ではよくある類の軽微なミスで、ISO(品質管理方法に関する国際規格)の「手続き」の一部に抜け漏れがあっただけの話だと思ったんですね。

この「手続き」というのがポイントです。品質検査はきちんと技量を持った人がやっていることが証明できなければなりません。このため「技量がある」ことを証明する手段として作業者ごとに品質検査の技量認定をして、それを書面で残すということが行われています。

社内で普通に仕事してきた人であれば、不合格にはなることはまずなく無事認定がおりて有資格者となります。この書面管理が結構面倒で、監査の時に抜け漏れが発覚することがあります。大抵は監査前の書類準備で気づいて慌てて揃えるので、大事にならないことが多いんですけど。

今回は書類確認前に国交省に見つかってしまったのでしょう。検査担当の人も全くのど素人ではなくそれなりの経験のある人がやるわけで、車両の不具合が見逃されて大問題になるとは思えませんでした。

幸運だったのは、予想通り翌営業日の10/2朝に暴落したことと、出張で寄り付き直後に株を購入できる状況にあったことです。寄り付き直後の9/29比5%安、1058円という直近の底値で日産株を買い増しすることが出来ました。

日産は高配当銘柄ですが、国内自動車メーカーと比較してもまだまだ配当性向には余裕があります。財務面でも過度な心配は不要かもしれません。(2020年追記:まさか営業CF赤字転落で無配になるとは思っていませんでした。黒歴史ですね。)

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2. 競合他社との比較~売上/営業利益率/R&D比率~

日産の配当利回りは、10/5現在で4.8%と非常に高いです。日産株はルノーが43.4%を握っていて、ルノーが資金を吸い上げる構造になっていることで配当利回りが高止まりしていると考えられます。(参考記事;「配当利回り4.9%! 日産自動車(7201)の株価が“気持ち悪いほど”割安になっている理由」

2-1. 比較①:売上高の推移

念のため日産株が割安になっている理由が他にないか確認するため、自動車メーカー6社(トヨタ日産ホンダマツダSUBARU三菱)との比較分析を行いました。

トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、スバル、三菱の2005年から2017年売上高推移比較

売上高の推移はトヨタがダントツ1位で、2位はホンダ。日産は3位で、直近5年の売上高ではホンダの背中が遠のいているように見えます。

2-2. 比較②:営業利益率の推移

トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、スバル、三菱の2005年から2017年営業利益率比較

次に営業利益率です。特別損失や事業外の要素を除いた実力ベースでの稼ぐ力を確認します。SUBARUがダントツで高く、続くトヨタと日産が拮抗しています。過去の推移をみても日産の営業利益率は健闘していることがわかります。

2-3. 比較③:自動車1台当たり利益の推移

トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、スバル、三菱の2005年から2017年の1台当たり利益比較

自動車1台当たりの利益額です。営業利益率とリンクしますが、SUBARUがダントツで稼いでいて1台売るごとに40万円近くも利益が出ています。直近3年で急伸しているのはアイサイトのブランド化戦略の成功、円安の相乗効果、あとは軽自動車撤退による利益率の高い車種への選択と集中の結果でしょうか。日産は突出して高いわけではありませんが業界中位で特別悪い印象はありません。

比較④:売上高/R&D比率の比較

トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、スバル、三菱の2005年から2017年R&D比率の比較

研究開発費(R&D)比率を確認します。製造業は研究開発にどれだけ人材とカネをかけているかが将来の明暗を分けます。研究費なしでいいモノづくりをするのは難しいでしょう。この目線でみると、ホンダがトップを走っていて日産が続いています。先進的なイメージのないホンダがトップというのは意外でしたが、2輪事業の影響もあるのでしょうか。日産は電気自動車関連にリソースを投入しているためか、R&D比率は高位安定です。

ちなみに三菱は2006~2012年までR&D比率最下位です。売上高も業界下位なので開発らしい開発はさせてもらえなかったのではないかと推測されます。度重なるリコールによる苦境で研究開発費にも手を付けてしまったことの代償は大きかったようですね。これだけ競合他社と水をあけられている状況では、燃費偽装で大問題になったのも頷けます。カネをかけずに鉛筆を舐めるという企業風土は、研究開発費をケチることから始まるのでしょう。

自動車業界ほど売り上げ規模は大きくありませんが、日本企業が競争力を保っている電子部品業界。メーカーとしては変わらず成長を続ける珍しい業種で、村田製作所と日本電産が競い合っている構造ですね。

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3. 日産は高配当株としてホールドすべき

上記の分析データから言えることとして、日産が割安になる要素は売り上げ面でホンダに引き離されつつあることしかありません。また上記データからは読み取れませんが、リーフで先行している電気自動車が利益貢献するまで息が長そう、という電気自動車への市場期待値の低さもあるかもしれません。

大規模リコールなどの大イベントがない限り減配要素はないように見えます。今回の無資格検査員のリコール問題も対象台数は多いですが、検査不具合による事故がなければ重大な影響にはならないでしょう。新型リーフ発売のタイミングと重なったのは痛手ですが。

今回の分析でルノーが筆頭株主である限り、日産株を保有することにメリットがあると考えました。僕の保有株の中でこれほどの高配当銘柄は今のところありません。ルノーの資本引上げ等の騒動がない限りはホールドして高配当の恩恵を受けようと思います。

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